キャッシュフロー計算書から何がわかるのでしょうか?
キャッシュフロー計算書とは、1年間や1ヶ月といった一定の期間におけるお金の流れを表すものです。
なぜ資金が足りなくなったのか?
儲けたお金はどこに流れたのか?
お金の流れを把握することは、経営においてとても大切なことです。
本記事では、キャッシュフロー計算書から何がわかるのか?そしてどのようにお金の流れを把握するのか?ということをお伝えします。
キャッシュフロー計算書を活用して資金繰りを上手くまわせるようになりましょう。
キャッシュフロー計算書とは?何がわかるの?
通常、決算書と聞くと「貸借対照表」と「損益計算書」を思い浮かべますが、もう一つ「キャッシュフロー計算書」というものがあります。
「貸借対照表」「損益計算書」「キャッシュフロー計算書」はそれぞれ自分の会社の経営状態を見るのにとても重要です。
損益計算書・・・一定期間の企業活動の経営成績を表すもの
キャッシュフロー計算書・・・一定の期間におけるお金の流れを表すもの
「貸借対照表」をみれば、企業の財産(資産・負債)の状況がわかり、「損益計算書」をみれば、儲かっているかどうかがわかります。
そして「キャッシュフロー計算書」では、「なぜ資金が足りなくなったのか?」「儲けたお金はどこに流れたのか?」といったお金の流れがわかるようになります。
本来、キャッシュフロー計算書は、上場企業のみ作成義務があり、非上場企業には作成義務はありません。
しかし、上場企業でなくても、健全な経営のためにキャッシュフロー計算書を作成すると良いとされています。
>>キャッシュフローの意味とは?簡単にわかりやすく解説します!
キャッシュフロー計算書は3つのポイントで見る!
前章でもお伝えしたとおり、キャッシュフロー計算書とは、1年間や1ヶ月といった一定の期間におけるお金の流れを表すものです。
例えば、売掛金などの売上債権が期首に20千円、期末に50千円となっていた場合、「20千-50千=−30千」となりますね。期首から期末の差額30千円はまだ現金化されていない、すなわちキャッシュが減少しているということです。
そして、期首から期末にかけてお金が増えたのか、減ったのかといったお金の流れとその要因は、キャッシュフロー計算書を3つのポイントに分けるとさらにわかります。
その3つのポイントはそれぞれ「営業活動によるキャッシュフロー」「投資活動によるキャッシュフロー」「財務活動によるキャッシュフロー」といい、それぞれ次のような特徴があります。
- 営業活動によるキャッシュフロー
→会社の本業である営業活動で稼いだお金 - 投資活動によるキャッシュフロー
→将来に向けて投資、または過去の投資を売却したお金 - 財務活動によるキャッシュフロー
→企業の財務に関する資金調達、または返済したお金
キャッシュフロー計算書の3つのポイントをおさえて分析することで「なぜ資金が足りなくなったのか?」「儲けた利益はどこに流れたのか?」といったお金の流れがよくわかり、今後の対策をとれるようになります。
それでは、1つ1つ見ていきましょう!
営業活動によるキャッシュフロー
営業活動によるキャッシュフローは、会社の本業である営業活動で稼いだお金の流れを表しています。
営業活動によるキャッシュフローがプラスの場合は、本業で稼いだ利益がキャッシュとなって増えている状態であり、基本的に経営は好調で、健全な状態であると言えます。
逆にマイナスの場合は、本業で稼げていない状態であり、会社の経営状況がよくないので、早急な対策が必要となってきます。
投資活動によるキャッシュフロー
投資活動によるキャッシュフローは、将来に向けて投資、または過去の投資を売却したお金の流れを表しています。
投資活動によるキャッシュフローがプラスのときは、過去に投資した土地や建物、車両や設備などの資産を売却して現金化し、キャッシュを増やした状態であると推測されます。
逆にマイナスのときは、将来に向けて事業拡大などによる設備投資などで、キャッシュが減った状態であるため、今後成長が見込める状態だと言えます。
財務活動によるキャッシュフロー
財務活動によるキャッシュフローは、企業の財務に関する資金調達、または返済したお金の流れを表しています。
財務活動によるキャッシュフローがプラスのときは、金融機関等から借入したり、外部から資金調達している状態であると言えます。
逆にマイナスのときは、借入金返済や配当金支払いなどを自己資金でまかなえているため、キャッシュが減っている状態ではありますが、資金に余裕があるとみられます。
キャッシュフロー計算書は、3つのポイントの増減の組み合わせで分析することができます。こちらの記事もあわせてご確認ください。
>>キャッシュフロー計算書の見方!3つのポイントをおさえて分析しよう!
キャッシュフロー計算書には直接法と間接法がある!
キャッシュフロー計算書の作り方には「直接法」と「間接法」があり、それぞれ違いやメリット・デメリットがあります。
営業活動によるお金の流れを営業収入、仕入、経費の支払いといった主要な取引から項目ごとに集計して作成するのが「直接法」で、貸借対照表・損益計算書をもとに計算して作成するのが「間接法」です。
間接法・・・貸借対照表・損益計算書をもとに計算して作成
また、「直接法」と「間接法」のメリット・デメリットについては次のとおりです。
メリット | デメリット | |
直接法 | 項目ごとの収入・支出が把握しやすい | 主要な取引ごとに集計するため、手間がかかる |
間接法 | 貸借対照表・損益計算書をもとに作るため、手間がかからない | 税引前当期純利益から調整するため、収入・支出が把握しにくい |
直接法は項目ごとの収入・支出がわかるため、取引別のキャッシュフローが把握しやすいです。
間接法は損益計算書の税引前当期純利益から調整しているため、収入・支出の内訳がわかりませんが「営業活動によるキャッシュフローと利益がなぜズレているのか」ということは、一目瞭然にわかります。
直接法は間接法より手間がかかるため、一般的には間接法を採用される企業が多いです。ただ、国際会計基準では収入・支出が把握しやすい直接法を推奨されているので、いずれは直接法が主流になるかもしれません。
もともと中小企業ではキャッシュフロー計算書の作成義務はないのですから、自社のお金の流れを把握するためだけなら、まずは手間がかからない間接法で作成するのがベストでしょう。
詳しくはこちらの記事をご確認ください。
>>キャッシュフロー計算書の直接法と間接法の違いとは?作り方も全く違う?
キャッシュフローが合わない原因は?
キャッシュフロー計算書を初めて作成する方や会計に慣れていない方にとって、作っていく段階で、キャッシュフロー計算書が合わないということがあります。
キャッシュフロー計算書が合わないというのは、「営業活動によるキャッシュフロー」「投資活動によるキャッシュフロー」「財務活動によるキャッシュフロー」のお金の流れを合わせた「現金及び現金同等物の増減額」が前期と今期の貸借対照表の「現預金等」の増減額と同じにならないことを言います。
≠
前期と今期の貸借対照表の「現預金等」の増減額
本来、合うはずのものが合わないということは、何かが抜けているか、どこかで間違っているかということになります。
原因をみつけて、キャッシュフロー計算書を正しく作り、経営に役立てていきましょう。
キャッシュフロー計算書の合計と現預金の増減が合わない理由や解決の仕方はこちらの記事を参考にしてください。
>>キャッシュフロー計算書が合わない原因!着目すべき2つのポイントとは?
まとめ|キャッシュフロー計算書で何がわかるか理解して経営に活かそう!
キャッシュフロー計算書から何がわかるかご理解いただけましたでしょうか?
キャッシュフロー計算書では、「なぜ資金が足りなくなったのか?」「儲けたお金はどこに流れたのか?」といったお金の流れがわかるようになり、過去の業績から資金の増減の原因を探ることができます。
過去を分析することで、今後どのように資金繰りをまわしていけばいいか予測していく事ができますので、是非活用していきましょう!
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