黒字でも会社が倒産することがあるってご存知ですか?
実は倒産企業の46.3%が黒字企業であるというデータがあります(データはこちらの記事からご確認ください)。
黒字なのに不思議ですよね~
なぜ、黒字なのに倒産してしまうのか?
それを探るためにキャッシュフロー計算書を利用しましょう。
キャッシュフロー計算書には、会社の現金状況を把握するための情報が詰まっており、キャッシュフロー計算書の見方や読み方を知ることで、黒字倒産リスクを回避することができるのです。
本記事では、キャッシュフロー計算書に関する基礎知識から、黒字倒産を回避するための具体的な対策まで、幅広く解説します。
是非、キャッシュフロー計算書の見方をしっかり落とし込んで、黒字倒産から回避できるようにしましょう。
キャッシュフロー計算書の見方を知ろう!
キャッシュフロー計算書とは、企業の現金の出入りを記録した財務諸表の一つで、1年間や1ヶ月といった一定の期間におけるお金の流れを表すものです。
つまり、利益があってもお金が無くなれば、いずれ資金ショートし、黒字倒産してしまうため、キャッシュフロー計算書でお金の流れを把握することが必要なのです。
なお、キャッシュフロー計算書には、「営業活動によるキャッシュフロー」、「投資活動によるキャッシュフロー」、「財務活動によるキャッシュフロー」の3つの項目があり、それぞれの項目の数字を比較することで、どの活動で現金が増えたり減ったりしているのかを把握できます。
キャッシュフロー計算書の見方はこちらの記事にも書いてありますのであわせてお読みください。
>>キャッシュフロー計算書の見方!ポイント3つをおさえて分析しよう!
キャッシュフロー計算書から黒字倒産を回避する3つの方法
キャッシュフロー計算書には3つの項目があることは、前章でお伝えしました。
「営業活動によるキャッシュフロー」、「投資活動によるキャッシュフロー」、「財務活動によるキャッシュフロー」でしたね。
はじめにそれぞれの項目がどのようなお金の流れを表すのかをみてみましょう。
- 営業活動によるキャッシュフロー・・・会社の本業である営業活動で稼いだお金の流れ
- 投資活動によるキャッシュフロー・・・将来に向けて投資、または過去の投資を売却したお金の流れ
- 財務活動によるキャッシュフロー・・・企業の財務に関する資金調達、または返済したお金の流れ
それぞれのキャッシュフローをどのように改善すると黒字倒産を回避できるか順にお伝えします。
営業活動によるキャッシュフローを改善する方法
「営業活動キャッシュフロー」とは、本業である商品やサービスの売上から生じるキャッシュフローのことを指します。
簡単に言うと、会社の本来の活動におけるお金の流れのことです。
「営業活動キャッシュフロー」を改善するための方法は、次のとおりです。
売上の拡大 | 商品やサービスの販売促進や新商品の開発などによって、売上を拡大することができます。 |
売上原価の縮小 | 売上原価を縮小することで、売上総利益を高めることができます。 |
固定費の削減 | 固定費を削減することで、営業利益を上げることができます。 |
在庫の適正化 | 在庫の適正化によって、在庫コストを削減することができます。 |
このように、売上を上げたり、経費を減らしたりとすることで、本業の業績を改善することができます。
投資活動によるキャッシュフローを改善する方法
「投資活動によるキャッシュフロー」とは、将来に向けての投資、または過去の投資を売却することから生じるキャッシュフローのことを指します。
簡単に言うと、有価証券、固定資産などの売買に関わるお金の流れのことです。
投資活動については、将来の利益を見据えたものであるため、将来の見通しを立て、必要な投資を行うことが重要です。
ただし、投資活動によって発生する費用やリスクを把握し、本当に必要な投資かどうか見極めたり、使っていない資産があれば売却したりするなど、投資活動について慎重に選定することが必要となります。
財務活動によるキャッシュフローを改善する方法
「財務活動によるキャッシュフロー」とは、企業の財務に関する資金調達、または返済したお金から生じるキャッシュフローのことを指します。
簡単に言うと、資金調達や借入返済に関わるお金の流れのことです。
財務活動については、長期的な視点で資金調達の方法を検討することが大切です。銀行からの融資や投資家からの資金調達など、多様な選択肢があります。しかし、資金調達にはコストがかかりますので、事前に計画を立て、適切な金額を調達することが必要です。
さらに、運転資金の効率的な管理も必要です。運転資金は、商品の仕入れや売上の回収などに必要な資金です。この後の章にもでてくる「流動比率」に注目して、適切な資金調達をし、運転資金の資金繰りを円滑に行うことができます。
これで、キャッシュフロー計算書の見方はだいたい押さえられましたね。
ここからは、企業の経営成績である「損益計算書」と企業の財務状態である「貸借対照表」から、黒字倒産を回避する為に注目すべきところを紹介します。
損益計算書からは黒字倒産が見抜けない!
そもそも、なぜ黒字倒産してしまうのでしょうか?
「黒字だから会社にお金がある!」
実は、このように損益計算書の利益とキャッシュフローを混同すると会社経営に大きな影響を与えてしまいます。
まずはじめに、損益計算書の利益とキャッシュフローは別物であると覚えておいてください。
利益は、売上から経費を引いた残りの金額であり、損益計算書上の数字です。一方、キャッシュフローは、実際に現金として受け取った金額や支払った金額であり、実際の財務状況になります。
例えば、売上が500万円あったとします。しかし売上の入金が1ヶ月先で、経費の200万円の支払が半月後の場合、損益計算書の利益は300万円と黒字なのに、500万円の入金がある前に200万円を支払わなければなりません。半月後のキャッシュフローはマイナス200万円になってしまうため、事前に借入などでお金を調達することが必要になってきます。
つまり、損益計算書だけでは利益がわかっても、お金の流れの把握が遅れてしまうため、黒字倒産に向かってしまうことに気づけないのです。
貸借対照表は「流動比率」と「自己資本比率」をみよう!
貸借対照表は「ある時点における企業の財政状態」を表します。
貸借対照表の「資産」は集めたお金をどのような状態でもっているかを表しており、「負債」は他人から借りてきたお金(他人資本)を表し、「純資産」は自分のお金(自己資本)を表しています。
つまり、貸借対照表は、簡単に言うと、どうやってお金を集めてそれをどう使ったかがわかるのです。
ここでは、黒字倒産の回避のために、次の2点について覚えておきましょう。
「流動比率」と「自己資本比率」です。
まず、「流動比率」は、「流動負債」に対する「流動資産」の割合を示したものです。「流動」とは1年以内に現金化できるものなので、この数値が大きいほど、手元にある運転資金が多く、債務を返済する能力が高いとされます。
だいたい200%あるとよいと言われていますが、100%を下回るとキャッシュフローがショートする危険があります。
次に、「自己資本比率」は、会社がどれだけ体力があるか見る指数です。
貸借対照表には、「他人資本」となる負債(買掛金や借入金など)と「自己資本」となる純資産(資本金や繰越利益剰余金など)があり、「自己資本比率」とは、総資本のうちどれだけ「自己資本」があるかをみる指標です。
体力のある会社の自己資本比率の目安は、50%と言われています。
「他人資本」はいずれ返さなくてはならないお金ですが、「自己資本」は返さなくてもいいお金なので、「自己資本」が少ないと、いざというとき会社を守れなくなる可能性があります。
このように、黒字であっても会社に体力がない状態だと、いつかお金が無くなり、黒字倒産しかねません。
黒字倒産の回避のために、少なくとも「流動比率」と「自己資本比率」をみておきましょう。
まとめ|キャッシュフロー計算書から黒字倒産を回避する方法を知ろう!
本記事では、キャッシュフロー計算書から黒字倒産を回避する方法などをお伝えしてきました。
黒字であっても倒産する企業があるのは、「利益=現金」でないからです。
企業が受け取った売上代金が、現金で入金されるまでに時間がかかることや、投資活動や財務活動によって現金が出ていくことで、キャッシュフローがマイナスになってしまうことがあります。
キャッシュフロー計算書を見るポイントとしては、「営業活動によるキャッシュフロー」がプラスであるかマイナスであるかを確認することが大切です。「投資活動によるキャッシュフロー」、「財務活動によるキャッシュフロー」については、投資や資産、借入などが本当に必要なものかを慎重に吟味して選定することが大切です。
黒字だからと安心ではありません。
キャッシュフロー計算書の見方を理解することで、実際に企業がどのような状況にあるのかを把握することができますし、キャッシュフローを改善することで、倒産を回避することもできます。
是非、キャッシュフロー計算書を読み解いて、会社のお金の流れを把握していきましょう。
株式会社マストップは、将来こうなりたいと目指す姿に向かっている経営者と一緒に伴走していくMAS監査事業をおこなっています。
当社が提供する経営計画サポートは、「現状を把握すること」「あるべき姿(目指す姿)を明確にすること」「全社員で共有すること」を促進し、ビジョンの達成、継続的な黒字経営を実現するための課題に取り組むことを支援することです。
まずは当社の中期5ヵ年経営計画立案サポート「将軍の日」をご利用ください。
また、「このままいくと5年後どうなる?」という課題を明確にする「あんしん未来診断」も随時行っております。
税務会計業務に長け、企業の未来をサポートすることに特化とした経営支援のエキスパートによるZoom解説で、経営者の方にわかりやすくお伝えする「あんしん未来診断」もあわせてご利用ください。