減価償却費をキャッシュフロー計算書でプラスにするのはなぜでしょうか?
キャッシュフロー計算書は、企業のお金の流れを表すものであり、減価償却費は、企業が購入した減価償却資産を決められた年数に合わせて分割して費用として計上するものです。
キャッシュフロー計算書と減価償却費について、一見どう関係しているのかわかりにくいでしょう。しかし、減価償却費はキャッシュフロー計算書に少なからずとも影響を及ぼしています。
本記事では、減価償却費をキャッシュフロー計算書でプラスにする理由や減価償却費がキャッシュフローに与える影響について簡単に解説します。
キャッシュフロー計算書と減価償却費を理解し、企業のお金の流れや経営状態を把握できるようにしましょう。
キャッシュフロー計算書と減価償却費の基本知識
はじめに、キャッシュフロー計算書と減価償却費の基本知識をお伝えします。
キャッシュフロー計算書とは?
キャッシュフロー計算書は、企業の収支状況を把握するための決算諸表の一つで、現金に関する収支を記録したものです。
営業活動、投資活動、財務活動におけるキャッシュフローをそれぞれ計算し、総合的なお金の流れを表します。
>>キャッシュフロー計算書の見方!ポイント3つをおさえて分析しよう!
減価償却費とは?
減価償却費とは、企業が固定資産(建物、機械など)を購入したときに、その年で全額費用とみるわけではなく、一定期間で使用し、その価値が減少することを想定して、数年かけて費用としてみるものです。
減価償却費は、固定資産の取得価格や取得年月日、使用年数などによって決定され、毎期決められた額を費用として計上します。
減価償却費をキャッシュフロー計算書でプラスにする理由
減価償却費をキャッシュフロー計算書でプラスにするのは、現金の動きがないという理由があります。
前章でもお伝えしたように、減価償却費は減価償却資産を購入した年に全額費用とみるわけではなく、一定期間で使用し、その価値が減少することを想定して、数年かけて費用としてみるものです。
例えば、店舗の改装工事に1,000万円かかったとします。
その際に現金で全額支払っていますが、店舗の改装工事1,000万円をその年の経費として全額みることはできません。かわりに減価償却費として毎年100万円を10年かけて費用としてみる形になります(償却期間が仮に10年の場合)。
店舗の改装工事 | 1年目 | 2年目 | ・・・ | 10年目 | 合計 |
減価償却資産 | 1,000万円 | 1,000万円 | |||
減価償却費 | 100万円 | 100万円 | ・・・ | 100万円 | 1,000万円 |
店舗の改装工事という減価償却資産を計上した年に現金は減少していますが(資産購入時による現金の減少は投資活動のキャッシュフローで反映)、毎年の減価償却費の計上では現金の動きはないのです。
つまり、減価償却費では実際にお金が流出するわけではありません。
そのため、減価償却費を引いた税引前当期利益から、減価償却費をプラスすることで、企業のお金の流れをより正確に把握するようにするのです。
減価償却費がキャッシュフローに与える影響
減価償却費は、実際にお金が流出するわけではないのですが、実は間接的にキャッシュフローに影響を与えています。
どういうことかというと、減価償却費はお金の流出はないものの、費用で計上されるため、その分会社の利益が減少します。つまり、減価償却費が増加すると、利益が減少し、税金の負担も減少することになるのです。
この状態は、間接的にキャッシュフローに影響を与えていると言えるでしょう。
まとめ|キャッシュフロー計算書で減価償却費をプラスに!お金の流れを理解しよう!
減価償却費をキャッシュフロー計算書でプラスにする理由はご理解いただけましたでしょうか?
その他、本記事ではキャッシュフロー計算書と減価償却費に関する基本知識や、減価償却費がキャッシュフローに与える影響について解説してきました。
減価償却費はキャッシュフロー計算書において重要な項目ではあります。少しずつ理解を深め、経営判断にも役立つようにしましょう。
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