「経営理念」と聞くと、企業の目的や価値観、ビジョンなど輝かしいものが連想されます。
しかし、いろんな「経営理念」がある中で、万一「ダメな経営理念」を掲げてしまった場合、例えば、従業員のモチベーション低下や社会的信頼性の低下、長期的な成長の妨げなど、企業にとって深刻な問題を引き起こす可能性があります。
本記事では、「ダメな経営理念」の例や問題点、そして脱却するための方法について解説しています。
是非、本記事を参考にしていただき、健全な経営理念を策定し、企業の成長に繋げていただければ幸いです。
「ダメな経営理念」とは何か?
ビジネスの世界では、企業や経営者が自分たちの方針や目標を表明する「経営理念」というものが存在します。しかし、中には「ダメな経営理念」と呼ばれるものもあります。
「ダメな経営理念」とは、企業や経営者が掲げる経営理念の中で、例えば、短期的な利益追求を目的とした経営理念や、従業員や社会貢献よりも経営者自身の満足を優先する経営理念などの問題点や欠陥があるもののことが挙げられます。
「ダメな経営理念」に陥る理由として、以下のようなものがあります。
- 短期的な利益追求に注力することで、短期的には業績が向上するという誤解に陥る
- 従業員や社会貢献などの長期的な目標が明確でないまま、曖昧な理念を掲げてしまう
- 経営者自身の欲望や満足を優先し、従業員や社会の利益を度外視してしまう
- 経営理念を適切に策定するための情報や知識が不足している
心当たりはございませんか?
このままでは、企業にとって深刻な問題を引き起こしかねません。
「ダメな経営理念」についてよく知り、適切な情報や知識を取り入れ、長期的な視点を持って経営理念を策定することで、より健全な経営方針を立てるようにしましょう。
「ダメな経営理念」の例
「ダメな経営理念」には、短期的な利益追求が目的のものや、従業員や社会貢献よりも経営者自身の満足を重視するものなど、様々な種類があります。
ここからは、「ダメな経営理念」の具体例について説明します。
①短期的な利益追求が目的の経営理念
例えば、「毎年10%以上の利益増加を目指す」というような、短期的な利益追求を目的とした経営理念があります。
このような経営理念は、長期的な視点を持った経営方針とは言えず、「利益さえ取れればいい」という考えが中心になり、他にもっと大切なことがあるのに軽視してしまうなど、企業や従業員、社会に悪影響を及ぼすことがあります。
②従業員の幸福や社会貢献よりも経営者自身の満足を重視する経営理念
また、「経営者の夢を実現するために、従業員を犠牲にしても良い」といった、従業員や社会貢献よりも経営者自身の満足を重視する経営理念もあります。
このような経営理念は、従業員や社会から「自分さえ良ければいいんでしょ?」と思われ、信頼を失い、企業の長期的な発展に支障をきたすことがあります。
③目的が曖昧で、具体的な行動指針が示されていない経営理念
最後に、「私たちは常に最高のサービスを提供する」といった、目的が曖昧で、具体的な行動指針が示されていない経営理念もあります。
このような経営理念は、従業員や関係者に達成感や方向性を与えず、「何のために誰にどのようなサービスをすればいいのかよくわからない」と迷わすことになる為、企業の発展にも影響を与える可能性があります。
「ダメな経営理念」がもたらす問題点
前章で「ダメな経営理念」についての例を知っていただいたところで、「ダメな経営理念」がもたらす3つの問題点についてもあげていきます。
①従業員のモチベーション低下
「ダメな経営理念」によって従業員が重要視されず、短期的な利益追求が優先されるような経営方針が採用されると、従業員のモチベーションが低下してしまうことがあります。
経営者自身の満足や利益追求が優先されるため、従業員のやりがいや成長の機会が奪われ、結果として業績が低下する可能性もあります。
②企業の社会的信頼性の低下
企業は社会に責任を負っている存在であるため、社会的信頼性を保つことが重要です。
しかし、従業員や社会貢献よりも経営者自身の利益や満足が優先されるような「ダメな経営理念」を採用する企業は、例えば、従業員に対して不当な扱いを行い、社会問題を引き起こすなど、社会的信頼性を失うことがあります。
③長期的な成長の妨げとなる
「ダメな経営理念」によって、短期的な利益追求が目的となっている企業は、長期的な成長を妨げる可能性があります。
長期的な成長には、従業員の育成や研究開発などの投資が必要ですが、短期的な利益追求が優先される場合、それらの投資が削減される可能性があります。
結果として、競合他社に比べて技術力や商品力が低下し、長期的な競争力が失われる可能性があります。
「ダメな経営理念」から脱却する方法
もし「ダメな経営理念」を採用してしまったら、取り返しのつかないことになってしまうのではないでしょうか?
いいえ、そんなことはありません。
ここからは「ダメな経営理念」から脱却する方法を3つ紹介します。
①具体的な目標と行動指針を設定する
経営理念を具体的にするためには、目標や行動指針を設定することが大切です。
目標は、明確な数値目標や期限を設定し、達成可能なものを選ぶことが重要です。目標を達成するための具体的な方法や取り組みを示す行動指針も合わせて作るとよいでしょう。
これらを設定することで、経営理念が実現可能なものになります。
②従業員や社会との共生を意識する
経営理念を策定する際には、従業員や社会との共生を意識した方針を取り入れることも重要です。
従業員が働きやすい環境を整備することや、社会貢献活動に取り組むことで、企業の社会的信頼性を高めることができます。
また、CSR(企業の社会的責任)にも取り組むことで、より健全な経営方針を示すことができます。
③長期的な視野での経営戦略を策定する
経営理念を策定する際には、長期的な視野での経営戦略を策定することが重要です。
短期的な利益追求よりも、長期的な成長を見据えた戦略を立てることで、企業の成長を促すことができます。また、経営理念や戦略は定期的に見直し、改善することも重要です。
経営環境の変化や社会情勢の変化に応じて、適切な経営戦略を策定することが求められます。
>>経営理念とは?わかりやすく例を挙げて効果や作り方を説明します!

まとめ|ダメな経営理念から脱却して長期的な視点を持とう!
「ダメな経営理念」は、企業が短期的な利益や経営者自身の満足を追求するなど、不健全な方針を掲げることで発生します。これによって、従業員のモチベーション低下や企業の社会的信頼性の低下、長期的な成長の妨げといった問題が生じます。
そこで、具体的な目標と行動指針を設定することや、従業員や社会との共生を意識すること、長期的な視野での経営戦略を策定することが重要です。また、経営者自身が正しい情報や知識を身につけ、常に改善や成長に向けた取り組みを行うことで、「ダメな経営理念」からの脱却も可能です。
経営理念は企業の方向性を示すものであり、健全なものであれば、企業の発展に大きく貢献します。一方、「ダメな経営理念」は、企業の将来に深刻な影響を与えます。適切な知識や情報を取り入れ、長期的な視点を持って経営理念を策定し、健全な企業文化を築くことが、企業の持続的な成長につながるのです。