中期経営計画は、3年後または5年後など未来を見据えた経営計画です。
「3年後、5年後の計画なんて意味ないんじゃない?」
そうおっしゃる気持ちわかります。
正直、1か月後、半年後がどうなっているかわからないのにもっと先のことなんて予測できないですよね。
では、中期経営計画は必要ないのでしょうか?
いいえ、そうではありません。
この記事では、中期経営計画の必要性と中期経営計画をどのように作っていくといいのかというお話をします。
未来を見据えた中期経営計画を作成して会社を未来へ導きましょう!
中期経営計画の必要性とは?
中期経営計画の必要性をあまり感じられない。
そんな中小企業の経営者の方々は結構おられるのではないでしょうか?
そう感じられる理由は1つ。
「変化が激しい現代において、数年先の予測なんてできないから。」
では、数年先の予測なんてできないからと経営計画を作成していない経営者の方はどのくらいいるのでしょうか?
こちらのデータをご覧ください。
【経営計画(事業計画や収支計画など)の作成の有無(%)】
こちらのデータは、中小企業庁が2016年1月に(株)日本アプライドリサーチ研究所に委託した「小規模事業者の事業活動の実態把握調査」です。
経営計画(事業計画や収支計画など)の作成の有無について、53%の方が経営計画を作成したことがあると回答しています。
過半数の小規模事業者の方が経営計画を作成しているのです。
ここでいう「小規模事業者」の定義は「おおむね常時使用する従業員の数が20人(商業又はサービス業は5人)以下の事業者」であり個人事業主も含まれています。
したがって、こちらのデータにおいては、従業員の数が20人(商業又はサービス業は5人)以下の事業者のうち経営計画を作ったことのあると回答している経営者が過半数いるということなのです。
従業員20人超えるような企業となれば経営計画を作成している割合はもっと多くなるでしょう。
また、個人事業主の方でも43.9%の方が経営計画を作ったことがあるというデータもありますので、いまやどんぶり勘定で商売をされている方は少なくなっているのではないでしょうか?
それでは経営計画を作成したことで、どんな効果が生まれたのでしょうか?
次の図をご覧ください。
【経営計画を作成した効果(複数回答)(%)】
こちらの図は経営計画を作成した効果として次の11項目から最もあてはまるものを複数回答していただいたものです。
- 経営方針と目標が明確になった
- 自社の強み・弱みを認識できた
- 販路開拓のきっかけとなった
- 資金繰りの状況が把握できた
- 金融機関から信用が得られた
- 新事業立上げの参考となった
- 社内の士気向上が図れた
- 取引先との交渉の役に立った
- ブランディングに成功した
- その他
- 特に効果がなかった
経営計画を作成した効果を見ると、「経営方針と目標が明確になった」及び「自社の強み・弱みを認識できた」との回答を1~3位にあげている方がそれぞれ約7割となっています。
また「販路開拓のきっかけとなった」が約4割、「資金繰りの状況が把握できた」が約3割となっています。
経営計画を作ることで、経営方針と目標が明確になり、自社の強み・弱みを認識できた方は、今まで気が付かなかった課題や問題を浮き彫りにでき、結果、資金繰り対策や販路開拓に貢献できているとみて取れます。
最後に経営計画を作成したことで売上高がどう変わったのかデータで見てみましょう。
【経営計画の作成の有無と売上高の傾向(%)】
経営計画の作成の有無と売上高の傾向については、経営計画を「作成したことがある」者が34.0%と「作成したことがない」者は20.2%ということから経営計画を「作成したことがある」者のほうが売上高が増加傾向にあることが分かります。
単純に売上の増加が見込めるというだけでも中期経営計画の必要性を感じていただけるのではないでしょうか?
このように先行きが見えない中でも、未来を見据えて行動した経営者だけが光を見つけることができるのです。
【上記3図の参考資料】
中小企業庁委託「小規模事業者の事業活動の実態把握調査」PDF(2016年1月、(株)日本アプライドリサーチ研究所)
中期経営計画を作成する4つのメリット
ここまで中期経営計画を作成することで、売上増加が見込めることや企業だけでなく個人事業主の方も半数近く経営計画を立てたことがあるというデータをみていただきました。
中期経営計画の必要性を少しずつ感じていただけたのではないでしょうか?
実はほかにも中期経営計画を作成するメリットが4つあります。
【中期経営計画を作成する4つのメリット】
メリット1:会社の現状を把握できる
会社の現状把握ができ、課題を整理することでの改善案が出やすくなる
メリット2:会社が目指すべき方向性がわかる
会社のこうなりたい姿を明確にでき、今後の対策案が出やすくなる
メリット3:現状と目指すべき方向性の差異を検証&対策できる
計画通りいかないときは分析&対策で軌道修正できる
メリット4:自ら考えて動く人材が育つ
中期経営計画を全社員で共有し、実行可能になる
4つのメリットの中で、会社が目指すべき方向性がわかることはすごく重要となります。
ドライブでもまずはどこに向かうか決めないと出発できないですよね?
その目的地に向かっていく手段として、車で行くのか?電車で行くのか?
万一、電車が台風などで遅れた場合はバスに切り替えるのか?
このように、どんな風に目的地へすすむのかを自ら考えて、検証・対策・実行できるようになると目的地にたどり着くことが出来るのです。
それでは、実際にどのように中期経営計画を作成するのでしょうか?
中期経営計画を作成する5つのステップ
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それでは、さっそく中期経営計画を作ってみましょう!
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そうはいってもなかなかすぐにできません。
理由は「先のことなんてわからない」と思っているからです。
中期経営計画を作成するということは、実は未来を予測するものではありません。
自分が将来どうなっていたいかを考えることが大事なのです。
そして将来そうなるためにどうすればいいかを考えていき、数値化していくことが経営計画を立てることになります。
経営計画の作り方は、基本、次の5ステップになります。
STEP2:経営理念を明確にし、どんな企業でありたいか考える
STEP3:中期ビジョンを作成して、どうなっていきたいか方向性を決める
STEP4:売上計画・経費計画・設備投資計画を作り、STEP3を数値化する
STEP5:何通りも計画作成し、最善の経営計画にする
経営計画の立て方はこちらの記事にも書いてあります。あわせてどうぞ!

中期経営計画を作成するときの注意点
やっと中期経営計画ができたー!
ここで満足してはいけません。
先ほども申し上げた通り、せっかく最善の中期経営計画をつくりあげても、絵に描いた餅になっては何の意味もありません。
中期経営計画を実行可能にするには、次の3つのことをしましょう。
- ビジョンを全社員で共有する
- 会社の現状や課題を明確にする
- 各社員のタスクに落とし込む
中期経営計画の「見える化」をすることで、中期経営計画が活かされ、全社員一丸となって会社がなりたい姿へ向かっていくことが出来るのです。
中期経営計画を立てても全社員に浸透させ実行しなければ、その中期経営計画は絵に描いた餅です。
せっかく作った中期経営計画が絵に描いた餅にならないよう、これらの注意点を活かしていきましょう!
まとめ|中期経営計画の必要性とは?未来を見据えた計画書が会社を救う!!
中期経営計画は、3年後または5年後など先を見据えた経営計画です。
3年も5年も先のことなんてと中期経営計画の必要性を感じられない方もおられるのではないでしょうか?
実は小規模事業者の方で経営計画を作ったことのある方は、53%と過半数もいます。さらに個人事業主の方でも43.9%の方が経営計画を作ったことがあります。そして経営計画を作成したことのある方のほうが作成していない方より売上増加をしているというデータもあります。
データからいっても中期経営計画の必要性を感じられますよね。
しかし、中期経営計画の必要性を感じても一体どうしたらいいのか?
まず、経営者の方には将来こうなっていたいという思いがあるはずです。
その思いを中期経営計画に反映させればいいのです。
中期経営計画は将来を予測するのではなく、将来どうなりたいかを考え、そこに向かってどういう行動をしていけばいいかを考えてつくるものです。
未来を見据えた中期経営計画を作成して会社を未来へ導きましょう!
株式会社マストップは、将来こうなりたいと目指す姿に向かっている経営者と一緒に伴走していくMAS監査事業をおこなっています。
当社が提供する経営計画サポートは、「現状を把握すること」「あるべき姿(目指す姿)を明確にすること」「全社員で共有すること」を促進し、ビジョンの達成、継続的な黒字経営を実現するための課題に取り組むことを支援することです。
まずは当社の中期5ヶ年経営計画立案サポート「将軍の日」をご利用ください。
また、「このままいくと5年後どうなる?」という課題を明確にする「あんしん未来診断」も随時行っております。
税務会計業務に長け、企業の未来をサポートすることに特化とした経営支援のエキスパートによるZoom解説で、経営者の方にわかりやすくお伝えする「あんしん未来診断」もあわせてご利用ください。