中期経営計画は、3年後または5年後など未来を見据えた経営計画です。
しかし、正直言って、半年後や1年後がどうなっているかわからないのに、3年後または5年後を予測して経営計画なんてできないですよね。
では、中期経営計画は必要ないのでしょうか?
いいえ、そうではありません。
本記事では、経営計画を作成する効果やメリットから中期経営計画の必要性をお伝えし、中期経営計画をどのように作っていくといいのかということを簡単にお話します。
未来を見据えた中期経営計画を作成して会社を未来へ導きましょう!
中期経営計画の必要性を感じない?計画を作成する5つの効果!
中期経営計画の必要性をあまり感じられない。
そう感じている経営者の方は結構おられるのではないでしょうか?
なぜなら、変化が激しい現代において、数年先の予測なんてできないからです。
そのような理由で、経営計画を作成せず、今までの経験から予測して意思決定をしている経営者は少なくありません。
では、経営計画を作成していない経営者の方はどのくらいいるのでしょうか?
中小企業庁が2016年1月に(株)日本アプライドリサーチ研究所に委託した「小規模事業者の事業活動の実態把握調査」のデータをご覧ください。
【経営計画(事業計画や収支計画など)の作成の有無(%)】
経営計画(事業計画や収支計画など)の作成の有無について、47%の方が経営計画を作成したことがないと回答しています。
ということは、過半数の経営者は経営計画を作成したことがあるということです。
過半数の経営者の方は、どうして経営計画を立てたのでしょうか?
金融機関に言われたから?
補助金申請のために必要だったから?
いろいろあるでしょう。
なにより、経営計画を作成する効果が期待してから立てたのではないでしょうか?
経営計画を作成したことにより生まれた効果についてのデータがありますので、次の図をご覧ください。
【経営計画を作成した効果(複数回答)(%)】
【上記2図の引用元】
中小企業庁委託「小規模事業者の事業活動の実態把握調査」PDF(2016年1月、(株)日本アプライドリサーチ研究所)
こちらの図は経営計画を作成した効果として、11項目から最もあてはまるものを複数回答していただいたものです。
上位5項目はこちらです。
- 経営方針と目標が明確になった
- 自社の強み・弱みを認識できた
- 販路開拓のきっかけとなった
- 資金繰りの状況が把握できた
- 金融機関から信用が得られた
順にみてきましょう。
①経営方針と目標が明確になった
経営計画を作成する際には、経営者がビジョンや経営方針を掲げ、具体的な目標を設定します。
これにより、会社全体が共通の目標に向かって一丸となり、業務やプロジェクトの方針が明確になります。
経営方針と目標を明確にすることで、社員に方向性を示し、会社の一体感を生み出します。
②自社の強み・弱みを認識できた
経営計画を作成する際は、会社の内外をしっかり分析する機会を作ります。
自社の強みや弱みを客観的に見つめ直すことで、事業戦略の構築や課題の克服に向けた計画を立てることが可能となります。
自社の強み・弱みを認識することは、競争環境において持続的な競争優位性を築くために重要です。
③販路開拓のきっかけとなった
経営計画を作成することで、市場や顧客の動向を分析し、新たな販路やビジネスチャンスを発見することができます。
そして、新たな市場や取引先の販路開拓に向けた方針を実践していく事により、ビジネスの成長に繋がる可能性があります。
④資金繰りの状況が把握できた
経営計画を作成することで、将来の売上予測や経費見積もりを元に資金繰りを計画することが可能です。
資金繰りの見通しを持つことで、資金不足や余剰のリスクを事前に把握し、適切な対策を講じることができます。
⑤金融機関から信用が得られた
経営計画には事業計画や財務計画が含まれます。
これにより、金融機関に対して会社の将来の展望や安定性を示すことができます。
信頼性のある経営計画は、資金調達の際に金融機関からの信用を得る手助けとなります。
中期経営計画を作成する4つのメリット
ここまで中期経営計画を作成することで、いろいろな効果があることをお伝えしました。
中期経営計画の必要性を少しずつ感じていただけたのではないでしょうか?
実はほかにも中期経営計画を作成するメリットが4つあります。
メリット②会社が目指すべき方向性がわかる
メリット③現状と目指すべき方向性の差異を検証&対策できる
メリット④自ら考えて動く人材が育つ
順にみていきましょう。
メリット①会社の現状を把握できる
中期経営計画を作成するメリットの1つ目は「会社の現状を把握できる」です。
経営計画を作成するときは、経営者は事業の課題や強み、市場の変化などを客観的に理解しようとします。
そのため、具体的なデータや分析を通じて、課題の優先順位をつけ、改善のための具体的な方針を立てることが容易になります。
メリット②会社が目指すべき方向性がわかる
中期経営計画を作成するメリットの2つ目は「会社が目指すべき方向性がわかる」です。
中期経営計画は、単なる数字の羅列ではなく、会社が将来どのような存在でありたいか、どの市場でどのような地位を目指すのかを示すものです。
具体的なビジョンや目標を定めることで、社員は共通の理解を得ることができ、一体感を生み出すことができます。
メリット③現状と目指すべき方向性の差異を検証 & 対策できる
中期経営計画を作成するメリットの3つ目は「現状と目指すべき方向性の差異を検証 & 対策できる」です。
中期経営計画の実行段階で、計画通りに進まないケースが発生することがあります。この際に、計画と実績の差異を検証し、適切な対策を講じることが可能です。
経営者は柔軟かつ迅速に状況に対応し、必要に応じて計画を修正することで、ビジョンの達成をより確実なものとすることができます。
メリット④自ら考えて動く人材が育つ
中期経営計画を作成するメリットの4つ目は「自ら考えて動く人材が育つ」です。
中期経営計画は、会社全体に共有しましょう。社員には、経営計画を理解し、それを実現するために各自が自ら考え、行動する姿勢を求めることになります。そうすることで、社員は単なる指示待ちではなく、主体的に仕事に取り組む姿勢を養うことができます。
全社員が計画にコミットし、自らの仕事が会社の目標達成にどう貢献できるかを理解することで、会社全体の生産性と成果が向上します。
中期経営計画を作成する5つのステップ
/
それでは、さっそく中期経営計画を作ってみましょう!
\
そうはいってもなかなかすぐにできません。
理由は、どこかで「先のことなんてわからない」と思っているからです。
中期経営計画を作成するということは、実は未来を予測するものではありません。
自分が将来どうなっていたいかを考えることが大事なのです。
そして将来そうなるためにどうすればいいかを考えていき、数値化していくことが経営計画を立てることになります。
経営計画の作り方は、基本、次の5ステップになります。
STEP2:経営理念を明確にし、どんな企業でありたいか考える
STEP3:中期ビジョンを作成して、どうなっていきたいか方向性を決める
STEP4:売上計画・経費計画・設備投資計画を作り、STEP3を数値化する
STEP5:何通りも計画作成し、最善の経営計画にする
経営計画の作り方はこちらの記事に詳しく書いてあります。あわせてどうぞ!
>>中期経営計画のわかりやすい作り方!5つのステップで会社の未来を描こう!!

中期経営計画を作成したときの注意点
/
やっと中期経営計画ができたー!
\
ここで満足してはいけません。
せっかく最善の中期経営計画をつくりあげても、絵に描いた餅になっては何の意味もありません。
中期経営計画を実行可能にするには、次の3つのことをしましょう。
- ビジョンを全社員で共有する
- 会社の現状や課題を明確にする
- 各社員のタスクに落とし込む
中期経営計画の「見える化」をすることで、中期経営計画が活かされ、全社員一丸となって会社がなりたい姿へ向かっていくことが出来るのです。
中期経営計画を立てても全社員に浸透させ実行しなければ、その中期経営計画は絵に描いた餅です。
せっかく作った中期経営計画が絵に描いた餅にならないよう、これらの注意点を活かしていきましょう!

まとめ|中期経営計画の必要性とは?未来を見据えた計画書が会社を救う!!
中期経営計画は、3年後または5年後など先を見据えた経営計画です。
3年も5年も先のことなんてわからないのでは?と中期経営計画の必要性を感じられない方もおられるのではないでしょうか?
しかし、経営計画を作成した効果として、次のようなことが挙げられています。
- 経営方針と目標が明確になった
- 自社の強み・弱みを認識できた
- 販路開拓のきっかけとなった
- 資金繰りの状況が把握できた
- 金融機関から信用が得られた
このような効果があることで、中期経営計画の必要性を感じることができるのではないでしょうか?
しかし、中期経営計画の必要性を感じても一体どうしたらいいのか、迷いますよね。
そんなときは、将来こうなっていたいという思いを挙げてみてください。
その思いを中期経営計画に反映させればいいのです。
中期経営計画は、将来を予測するのではなく、将来どうなりたいかを考え、そこに向かってどういう行動をしていけばいいかを考えてつくるものです。
ぜひ、未来を見据えた中期経営計画を作成して会社を未来へ導きましょう!
株式会社マストップは、将来こうなりたいと目指す姿に向かっている経営者と一緒に伴走していくMAS監査事業をおこなっています。
当社が提供する経営計画サポートは、「現状を把握すること」「あるべき姿(目指す姿)を明確にすること」「全社員で共有すること」を促進し、ビジョンの達成、継続的な黒字経営を実現するための課題に取り組むことを支援することです。
まずは当社の中期5ヵ年経営計画立案サポート「将軍の日」をご利用ください。
また、「このままいくと5年後どうなる?」という課題を明確にする「あんしん未来診断」も随時行っております。
税務会計業務に長け、企業の未来をサポートすることに特化した経営支援のエキスパートによるZoom解説で、経営者の方にわかりやすくお伝えする「あんしん未来診断」もあわせてご利用ください。