2017年5月末からスタートした「早期経営改善計画策定支援」は、時代の流れに合わせて進化してきました。
「早期経営改善計画策定支援」は、もともと経営改善に前向きな中小企業・小規模事業者にとって多くのメリットがある制度です。
本記事では、2023年4月に改訂された「早期経営改善計画策定支援」の流れを簡単にわかりやすく紹介していきます。
「早期経営改善計画策定支援」の流れを少しでも理解し行動することで、中小企業において資金繰りの悪化等による経営支障が生じることの予防につながります。
そして、普段から資金繰りの安定をはかりつつ、早期の経営改善・事業再生の取り組みを促していきましょう!
早期経営改善計画策定支援事業とは?
2017年5月末からスタートした「早期経営改善計画策定支援」は、経営改善に前向きな中小企業・小規模事業者に対して、ビジネスモデル俯瞰図、資金実績・計画表、損益計画、アクションプラン等の早期経営改善計画の策定を促すための事業となっております。
2022年4月以降は、早期経営改善計画を着眼点に沿って策定し、金融機関に提出するとともに、認定支援機関(国が認める、税理士などの専門家)からの伴走支援を受けながら改善実行することで、今後の自己の経営について見直す意思がある経営者を支援するものとされました。
さらに2023年4月の改訂では、早期経営改善計画書の計画策定にあたって、実務指針の以下の着眼点に沿った支援が検討され、計画書等に検討内容が記載されているものとされました。
1.収益力改善支援
・現状分析(会社基本情報・財務・商流・業務プロセス・外部環境)
・経営課題の明確化
・経営改善策の検討
・数値計画策定(実務指針2.3.5⑤⑥)
・アクションプランの策定
・資金繰りの検討
2.ガバナンス体制の整備支援
・現状把握
・課題明確化
・対応策の検討と事業者へのアドバイス
※詳細は、実務指針(PDF)をご参照ください。
・ビジネスモデル俯瞰図
・経営課題の内容と解決に向けた基本指針
・アクションプラン
・損益計画
・資金繰表(実績・計画)
・その他必要とする書類
早期経営改善計画策定支援事業は、認定支援機関(国が認める、税理士などの専門家)の支援を受けて、早期経営改善計画を策定する場合、認定支援機関に対する支払費用の2/3を上限(上限額 25 万円まで※)とし、国が補助する事業となっております。
計画策定支援費用 上限 15 万円
伴走支援費用<期末> 上限 5 万円
伴走支援費用<期中> 上限 5 万円(任意)
他に金融機関交渉費用 上限 10 万円を加算(経営者保証解除に係るものに限る。任意)
【参考元】中小企業庁「早期経営改善計画策定支援」
※認定支援機関は、認定経営革新等支援機関のことを言います。
早期経営改善計画の流れ
※2022年3月4日に公表された「中小企業活性化パッケージ」により、中小企業再生支援協議会は、経営改善支援センターと統合され、中小企業の収益力改善から再チャレンジまでを幅広く支援する「中小企業活性化協議会」となりました。「経営改善支援センター」→「中小企業活性化協議会」となり、⑦の「モニタリング」は「伴走支援」となりました。【参考】経済産業省「中小企業活性化パッケージを策定しました」(2022年3月4日発表)
ここからは、早期経営改善計画の流れについて簡単に説明いたします。
早期経営改善計画の流れは次の7つのステップになります。
【早期経営改善計画の流れ:7つのステップ】
①相談・事前相談書の受け取り
②連名で利用申請書等提出・通知書を受け取り
③計画策定を支援
④計画書提出・受取書等の受け取り
⑤費用の1/3を支払
⑥費用の2/3を支援
⑦伴走支援
それでは、順にみていきましょう。
①相談・事前相談書の受け取り
まず、経営者と認定支援機関(国が認める、税理士などの専門家)が早期経営改善計画の適用を決めた後に、金融機関(メイン行や準メイン行)に対し、このことについて事前相談をします。
金融機関からは「事前に相談を受けた」ことを明記した「事前相談書」を入手します。
「事前相談書」は自分で作って金融機関に持参しても問題ありません。スムーズに早期経営改善計画のスタートができるように自分で出来ることはしておきましょう。
※認定支援機関が金融機関の場合は「事前相談書」は必要ありません。
>>早期経営改善計画(ポスコロ)の事前相談書はA4サイズ1枚でOK!
②連名で利用申請書等提出・通知書を受け取り
認定支援機関と中小企業・小規模事業者が連名で「早期経営改善計画策定支援事業利用申請書」を中小企業活性化協議会(旧:経営改善支援センター)に提出します。
このとき①で入手した「事前相談書」もあわせて提出します。
また、認定支援機関の中小企業・小規模事業者の間で業務委託契約書を締結しておきます。
③計画策定を支援
認定支援機関は、中小企業・小規模事業者の早期経営改善計画書策定に向けた支援を実施します。
まず、早期経営改善計画策定支援における着眼点と伴走支援における着眼点の確認をします。
そして、着眼点を踏まえて早期経営計画書等を中小企業・小規模事業者とともに作成していきます。
・ビジネスモデル俯瞰図
・経営課題の内容と解決に向けた基本指針
・アクションプラン
・損益計画
・資金繰表(実績・計画)
・その他必要とする書類
アクションプランについての記事とあわせてご覧ください。
>>早期経営改善計画のアクションプランってどう書くの?記入例で解説!
④計画提出・受取書等の受け取り
認定支援機関と中小企業・小規模事業者が作成した早期経営改善計画を金融機関に提出します。
その際、金融機関から早期経営改善計画を受け取ったことを明記した「受取書」を取得します。
⑤費用の1/3を支払
中小企業・小規模事業者は、早期経営改善計画策定の費用の1/3を認定支援機関に支払います。
⑥費用の2/3を支援
中小企業活性化協議会に対し、認定支援機関と中小企業・小規模事業者が連名で「早期経営改善計画策定事業費用支払申請書」を提出します。
その際、④で取得した「受取書」を添付します。
中小企業活性化協議は、支払決定金額の2分の1を認定支援機関に支払い、残りの2分の1を保留にし、その後、初回の伴走支援費用支払決定と合わせて認定支援機関に支払うものとします(費用の2分の3は半分に分けて支援されるということです)。
⑦伴走支援
認定支援機関は、早期経営改善計画の記載に基づき、計画策定後1年を経過した最初の決算時までの間に伴走支援を実施し、「伴走支援における着眼点実施確認表」や「伴走支援報告書」などを中小企業活性化協議会に提出します。
伴走支援費用支払等の手続きも忘れずにしましょう。
早期経営改善計画はどんな人におすすめ?
早期経営改善計画策定支援がおすすめなのは、次のような経営者の方です。
そして、この事業に取り組むことにより、今後の資金繰り計画だけでなく、経営課題を把握し、具体的な行動計画を作成することができます。
☑ 社会経済情勢の変化による影響などで資金繰りが不安定になっている。
☑ 売上が減少し、先行きが分からず不安だ。
☑ 自社の状況を客観的に把握し、今後の取組事項を整理したい。
☑ 初めてお願いする専門家に、いきなり高額の費用は払えないので、まずは1度お試しで計画を作りたい。
☑ 過去の資金繰り状況を分析し、今後の資金計画を策定することができます。
☑ 自社の経営課題を把握し、具体的な行動計画を作成できます。
☑ 計画策定から1年後に、専門家によるフォローアップを受け、計画の進捗を確認できます。
まとめ|早期経営改善計画の流れは従来通り!補助金で自立した経営を!!
2017年5月末からスタートした「早期経営改善計画策定支援」は、時代の流れに合わせて進化していますが、早期経営改善計画の流れは基本同じです。
早期経営改善計画の流れは次の7つのステップになります。
【早期経営改善計画の流れ:7つのステップ】
①相談・事前相談書の受け取り
②連名で利用申請書等提出・通知書を受け取り
③計画策定を支援
④計画書提出・受取書等の受け取り
⑤費用の1/3を支払
⑥費用の2/3を支援
⑦伴走支援
早期経営改善計画により、資金繰り支援を受けた企業の課題として、いかに将来にわたり継続して利益を生み出す体制(経営基盤の強化)ができるかが、これからの生き残りにかかっています。
国の補助金を活用して、自立した経営を行うため、早期経営改善計画に取り組んでいきましょう!
これからのあなたの一歩が経営基盤の強化につながることでしょう。
株式会社マストップは、将来こうなりたいと目指す姿に向かっている経営者と一緒に伴走していくMAS監査事業をおこなっています。
当社が提供する経営計画サポートは、「現状を把握すること」「あるべき姿(目指す姿)を明確にすること」「全社員で共有すること」を促進し、ビジョンの達成、継続的な黒字経営を実現するための課題に取り組むことを支援することです。
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