2017年5月末からスタートした「早期経営改善計画策定支援」は、通称「ポストコロナ持続的発展計画事業」としてリニューアルされました。
「早期経営改善計画策定支援」は、もともと経営改善に前向きな中小企業・小規模事業者にとって多くのメリットがある制度です。
2021年3月時点において、政府系・民間金融機関による実質無利子融資等の「コロナ関連融資」は、約50兆円、約260万件に達しています。(「新型コロナウイルスにより影響を受けた中小企業者向けの施策について」PDF)
まだ、終息が見えない想定外の災害に「コロナ関連融資」を返済していくめどが立っている企業はどのくらいあるでしょうか?
このように資金繰り支援を受けた企業は、いかに将来にわたり継続して利益を生み出す体制(経営基盤の強化)ができるか、すなわち、企業としての生き残りが課題となっています。
本記事では、「ポストコロナ持続的発展計画事業」にリニューアルされた早期経営改善計画の流れが簡単にわかるようにまとめてみました。
早期経営改善計画の流れを少しでも理解し、想定外の災害にも打ち勝つ経営基盤の強化に努めていきましょう!
早期経営改善計画策定支援事業とは?
2017年5月末からスタートした「早期経営改善計画策定支援」は、経営改善に前向きな中小企業・小規模事業者に対して、ビジネスモデル俯瞰図、資金実績・計画表、損益計画、アクションプラン等の早期経営改善計画の策定を促すための事業となっております。
☑ ビジネスモデル俯瞰図
☑ 資金実績・計画表
☑ 損益計画
☑ アクションプラン
「早期経営改善計画策定支援」事業の通称はこれまで「プレ405事業」でしたが、ポストコロナ時代において、中小企業者が本事業を活用して、資金繰り等を把握することの重要性を鑑み、通称を「ポストコロナ持続的発展計画事業」とされました。
略して「ポスコロ」ともいいます。
早期経営改善計画策定支援事業は、国が認める、税理士などの専門家の支援を受けて、早期経営改善計画を策定する場合、専門家に対する支払費用の2/3(上限20万円まで)を国が補助する事業となっております。
例えば、早期経営改善計画を立てる費用が21万円かかったとしたら、国から2/3の14万円補助されて、税理士などの専門家に支払う実際の費用は、1/3の7万円で済むということです。
早期経営改善計画の流れ
では、補助金を活用して早期経営改善計画を作るのはどのようにすればよいでしょうか?
早期経営改善計画の流れを次の7つのステップで説明します。
【早期経営改善計画の流れ:7つのステップ】
①相談・事前相談書の受け取り
②連名で利用申請書等提出・通知書を受け取り
③計画策定を支援
④計画書提出・受取書等の受け取り
⑤費用の1/3を支払
⑥費用の2/3を支援
⑦モニタリング
それでは、1つ1つみていきましょう。
①相談・事前相談書の受け取り
まず、経営者と認定支援機関である税理士などの外部専門家が早期経営改善計画の適用を決めた後に、金融機関(メイン行や準メイン行)に対し、このことについて事前相談をします。
金融機関からは「事前に相談を受けた」ことを明記した「事前相談書」を入手します。
「事前相談書」は自分で作って金融機関に持参しても問題ありません。スムーズに早期経営改善計画のスタートができるように自分で出来ることはしておきましょう。

②連名で利用申請書等提出・通知書を受け取り
税理士などの外部専門家と中小企業・小規模事業者が連名で「経営改善支援センター事業利用申請書(早期経営改善計画)」を、経営改善支援センターに提出します。
また①で入手した「事前相談書」もあわせて提出します。
③計画策定を支援
税理士などの外部専門家は、中小企業・小規模事業者の早期経営改善計画書策定に向けた支援を実施します。
☑ ビジネスモデル俯瞰図
☑ 資金実績・計画表
☑ 損益計画
☑ アクションプラン
アクションプランについての記事とあわせてご覧ください。

④計画提出・受取書等の受け取り
税理士などの外部専門家と中小企業・小規模事業者が作成した早期経営改善計画を金融機関に提出します。
その際、金融機関から計画を受け取ったことを明記した「受取書」を取得します。
⑤費用の1/3を支払
中小企業・小規模事業者は、早期経営改善計画の策定費用の1/3を認定支援機関に支払います。
⑥費用の2/3を支援
経営改善支援センターに対し、税理士などの外部専門家と中小企業・小規模事業者が連名で「経営改善支援センター事業費用支払申請書(早期経営改善計画)」を提出します。
その際、④で取得した「受取書」を添付します。
⑦モニタリング
税理士などの外部専門家は、経営改善計画の記載に基づき事業者のモニタリングを実施し、「モニタリング報告書」を経営改善計画支援センターに提出します。
従来の「早期経営改善計画」から「ポスコロ」への変更点は?
従来の「早期経営改善計画策定支援事業」から通称「ポストコロナ持続的発展計画事業」への変更点は何でしょうか?
実は、早期経営改善計画の流れはほとんど変わりません。
リニューアルされた主な変更点というと、次の2つです。
②経営計画書の新たなひな形が提供
1つ目の簡単な資金繰り表を作成できるツールはこちらの記事にわかりやすく掲載してあります。

2つ目の経営計画書の新たなひな形が提供されたことについては、中小企業庁「早期経営改善計画策定支援」のページの下部に掲載されてる「早期経営改善計画(コロナ用)」等を参考にしましょう。
早期経営改善計画はどんな人におすすめ?
「早期経営改善計画策定支援」がおすすめなのは、次のような経営者の方です。
そして、この事業に取り組むことにより、今後の資金繰り計画だけでなく、経営課題を把握し、具体的な行動計画を作成することができます。
☑ ここのところ、コロナの影響などで資金繰りが不安定になっている。
☑ コロナなどの影響で売上が減少し、先行きが分からず不安だ。
☑ 自社の状況を客観的に把握し、今後の取組事項を整理したい。
☑ 初めてお願いする専門家に、いきなり高額の費用は払えないので、まずは1度お試しで計画を作りたい。
☑ 過去の資金繰り状況を分析し、今後の資金計画を策定することができます。
☑ 自社の経営課題を把握し、具体的な行動計画を作成できます。
☑ 計画策定から1年後に、専門家によるフォローアップを受け、計画の進捗を確認できます。
【引用元】中小企業庁「早期経営改善計画策定支援」
2022年4月以降、ポスコロ事業制度が見直しされました!
経済産業省は、コロナ資金繰り支援の継続や増大する債務に苦しむ中小企業の収益力改善・事業再生・再チャレンジを促す総合的な支援策を展開するため、金融庁・財務省とも連携の上、「中小企業活性化パッケージ」を策定しました。【引用】経済産業省「中小企業活性化パッケージを策定しました」(2022年3月4日発表)
「中小企業活性化パッケージ」には、事業者のフェーズ(収益力改善フェーズ・事業再生フェーズ・再チャレンジフェーズ)に応じたきめ細やかな支援を措置するとともに、収益力改善・事業再生・再チャレンジを一元的に支援する支援体制を構築することが記載されております。
経営改善計画(ポスコロ)事業は、収益化フェーズにおける「認定支援機関による伴走支援の強化」に位置付けられ、更なる活用を促すよう制度の見直しが行われました。
見直しによる主な改訂ポイントは5つです。
- 2回目の利用
- 経営者保証解除枠の新設
- 伴走支援の交付要件画化と伴走支援(期中)新設
- モニタリングの支払申請に有効期限が設定
- 経営改善計画策定支援における着眼点の公表
改訂ポイントの内容について、早期経営改善計画のメリットが追加された旨を書いた記事はこちらになります。あわせてご覧ください。
>>早期経営改善計画(ポスコロ)のメリットは5つ!2022年見直しは好転の兆し

まとめ|早期経営改善計画の流れは従来通り!補助金で自立した経営を!!
「早期経営改善計画策定支援」は、通称「ポストコロナ持続的発展計画事業」としてリニューアルされても、早期経営改善計画の流れは同じです。
そして、2022年4月には昨今の情勢に合わせた制度に見直されました。
早期経営改善計画にもメリット・デメリットはありますが、資金繰り支援を受けた企業の課題として、いかに将来にわたり継続して利益を生み出す体制(経営基盤の強化)ができるかが、これからの生き残りにかかっています。
国の補助金を活用して、自立した経営を行うため、早期経営改善計画に取り組んでいきましょう!
これからのあなたの一歩が経営基盤の強化につながることでしょう。
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