SWOT分析は時代遅れ?
そのような声をネット上で見かけます。
しかし、最近では国の補助金申請にて、SWOT分析の4つの要素である「強み」「弱み」「機会」「脅威」などを書くケースも見受けられています。
本当に「SWOT分析は時代遅れ」なのでしょうか?
それならば、今も使われるのは何故でしょうか?
本記事では、SWOT分析が時代遅れだと言われる理由と、今でも使えるSWOT分析の活用の仕方についてお伝えいたします。
時代遅れといわれているSWOT分析を上手く活用して、なりたい姿へ会社を導きましょう!
SWOT分析とは?
SWOT分析は、現状分析して今後の経営戦略の方向性を見極める際に有効な手法です。
まず、「強み(Strengths)」「弱み(Weaknesses)」「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」の4つの要素をもって、企業の「内部環境」と「外部環境」のプラス要素とマイナス要素を浮き彫りにします。
そして、市場の流れや不測のリスクに対して企業としての打ち手を考え、経営戦略を立てていくのに役立てていきます。
プラス要素 | マイナス要素 | |
内部 環境 |
強み(Strengths) | 弱み(Weaknesses) |
外部 環境 |
機会(Opportunity) | 脅威(Threat) |
このように、自社の現状分析し、今後の経営戦略の方向性を見極める際に手法として、SWOT分析は有効とされていますが、どんなところが時代遅れだというのでしょうか?
SWOT分析は時代遅れといわれる理由
ここからは、「SWOT分析は時代遅れ」といわれる理由を考察していきます。
まずはSWOT分析の起源からみてみましょう。
SWOT分析は、1960年代から1970年代にかけてスタンフォード研究所(現在のSRIインターナショナル)で大会を率いたアルバート・ハンフリーが発案者だとしているが、ハンフリー自身はSWOTの発案を主張しておらず、起源は不明瞭なままである。(ウィキペディアより一部抜粋)
SWOT分析は、今から50年以上前にできた手法のようです。
1960年代から1970年代といえば、高度成長期です。
少し語弊があるかもしれんが、「強みを活かせば売れる!」「機会を逃さなかったら売れる!」「売れるだけ利益が増える!」ような時代でもありました。
昨今では、「強みであるサービス内容の需要が気づいたら減少していった」とか、「チャンスだと思って行動したが顧客層にマッチしなかった」とか、ビジネスの世界は一筋縄ではいかない時代になってきています。
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SWOT分析をしただけでは太刀打ちできない!
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そういった理由から「SWOT分析は時代遅れ」と言われるようになったのかもしれません。
なぜ今、SWOT分析が国の補助金申請で使われるのか?
前章で「SWOT分析は時代遅れ」と言われる理由をお伝えしましたが、国はSWOT分析を補助金申請の際に活用するよう公式サイトにて伝えています。
最近ですと、2021年4月から公募された「事業再構築補助金」です。
「公募要領」P43によると、事業計画書の作り方のところで、次のように書かれています。
1:補助事業の具体的取組内容
② 2ページ目以降に、現在の事業の状況、強み・弱み、機会・脅威、事業環境、事業再構築の必要性、事業再構築の具体的内容(既存事業との違い(特に顧客の違い)、提供する製品・サービス、導入する設備、工事等)、今回の補助事業で実施する新市場進出(新分野展開、業態転換)、事業転換、業種転換、事業再編の取組について具体的に記載してください。
「強み」「弱み」「機会」「脅威」とは、まさしくSWOT分析ですね。
SWOT分析のやり方は、まず、現在の事業の「機会」「脅威」を分析します。
SWOT分析の外部環境である「機会」「脅威」は、自社を取り巻く環境のことになります。
例えば「消費税増税」とか「在宅勤務の増加」とか、自社の力ではどうしようもできない時代の流れが、事業にとって「機会」になるのか「脅威」になるのかを判断します。
また、「機会」「脅威」は一般的にわかるものもあれば、業種特有のものもあります。
すべてを自分の頭の中から引き出すのは結構難しいので、「機会」「脅威」を調べる方法はこちらの記事をご覧ください。
次に、現在の事業の「強み」「弱み」を分析します。
SWOT分析の内部環境である「強み」「弱み」は具体的な内容を書くようにしましょう。
例えば「商品力がある」という「強み」よりも、「顧客別」だったり、「競合別」だったりと細分化して、「○〇は40代女性に好まれる商品力がある」という具体的な「強み」を書くことで、その強みを活かしてこの後どうするか?といった、より実践しやすい戦略の話ができるようになります。
このように、SWOT分析をより具体的に作ることで、国の補助金事業への申請や事業計画書において企業の現状をわかりやすく伝えることができます。
そのため、SWOT分析は国の補助金申請などに使われるのです。
SWOT分析は、エクセルでもパワーポイントでも作ることが可能です。こちらにパワーポイントで作るSWOT分析の記事がありますので、あわせてご覧ください。
>>SWOT分析パワーポイントの作り方!テンプレート無料ダウンロード
SWOT分析だけで終わったら時代遅れになってしまう!
SWOT分析だけで終わっていませんか?
おそらく、SWOT分析で「強み」「弱み」「機会」「脅威」の4つの要素を書き出したところで満足してしまうという企業は意外と多いのではないでしょうか?
SWOT分析を作っただけで満足してしまうと、本当に時代遅れのフレームワークだとレッテルを貼られてしまいます。
SWOT分析で書き出した「強み」「弱み」「機会」「脅威」の4つの要素をどう活用するか?
どんな戦略に活かしていくのか?
そこまでしっかり考えましょう。
SWOT分析を活かす代表的なフレームワークは「クロスSWOT分析」です。
クロスSWOT分析の4つの組み合わせは次の通りです。
- 「強み」×「機会」・・・強みと機会を最大限に活かしてできることは何か?
- 「弱み」×「機会」・・・弱みによって機会を逃さないようにできることは何か?
- 「強み」×「脅威」・・・強みを活かして脅威を克服するためにできることは何か?
- 「弱み」×「脅威」・・・弱みと脅威によって訪れる危機を回避するためにできることは何か?
例えば、クリーニング屋さんの「強み」を「染色補正技能士の国家資格を持ったしみ抜きの専門スタッフがいる」とします。また、「脅威」を「クリーニングを利用しない人の理由の半数はクリーニングが必要な衣類を着ない」というデータがあることとします。
この場合、次のようにクロスSWOT分析をすることで、クリーニングを利用しない人にクリーニングの必要性を気づいてもらうキッカケを作ることができます。
例えば、クリーニングを利用しない人に向けてアプローチする方法の一つとして、SNSを活用してみましょう。
Instagramなどで、思い出のぬいぐるみやタオルなどのしみ抜きを動画配信します。ハッシュタグや広告を使うことで、クリーニング屋さんのフォロワーでない人にもしみ抜きの動画や画像が届くようにします。
すると、「しみ抜きでこんなにキレイになるんだ!布も傷んでない!!」「もしかして、よだれ染みのあるぬいぐるみや子供服の墨汁ってしみ抜きしてもらえるのかな?」と、今までクリーニングを利用しなかった人にしみ抜きに強いクリーニング屋さんの存在を気づいてもらえるようになります。
クリーニングの必要性を感じてもらえることで、新規顧客開拓につながり、普通のクリーニング屋さんから染み抜き専門という市場を広げることができるようになるでしょう。
このように、クロスSWOT分析の4つの組み合わせから今後の戦略にどう活かしていくのかを考えていくことで、SWOT分析を上手く活用することができます。
クロスSWOT分析の使い方はこちらからご覧ください。
>>クロスSWOT分析のやり方は?具体例を組み合わせごとに紹介!
まとめ|SWOT分析は時代遅れではない!うまく活用しよう!!
ここまで、SWOT分析が時代遅れだと言われる理由と、今でも使えるSWOT分析の活用の仕方についてお伝えしてきました。
SWOT分析は、今から50年以上前にできた手法です。
1960年代から1970年代といえば、高度成長期。
少し語弊があるかもしれんが、「強みを活かせば売れる!」「機会を逃さなかったら売れる!」「売れるだけ利益が増える!」ような時代でもありました。
昨今では、「強みであるサービス内容の需要が減少傾向だった」とか、「チャンスだと思って行動したが顧客層にマッチしなかった」とか、ビジネスの世界は一筋縄ではいかない時代になってきています。
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SWOT分析をしただけでは太刀打ちできない!
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そういった理由から「SWOT分析は時代遅れ」と言われるようになったのかもしれません。
SWOT分析は作っただけではなく、そこから「強み」「弱み」「機会」「脅威」の4つの要素を戦略として活かしていくことが大切です。
つまり、SWOT分析の4つの要素は今後の経営戦略の根拠となるのです。
SWOT分析をして終わりではなく、クロスSWOT分析をして、「強み」「弱み」「機会」「脅威」をそれぞれ戦略的に活かしていくよう組み合わせていきましょう。
あなたなりの戦略が生まれるはずです。
このように、SWOT分析を活用できれば「SWOT分析は時代遅れ」という言葉はなくなっていくでしょう。
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