SWOT分析は、「強み(Strengths)」「弱み(Weaknesses)」「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」の4つの視点をもって自社の現状分析し、今後の経営戦略の方向性を見極める際に有効な手法です。
なんとなくそういうことだと知っていても、実際に「SWOT分析をしてみましょう!」という場面ではなかなかできないものです。
本記事では、SWOT分析の「強み(Strengths)」「弱み(Weaknesses)」「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」の4つの視点を細分化して、それぞれの項目について内容を引き出しやすいように、わかりやすく事例を挙げて紹介します。
SWOT分析の4つの視点を整理し、自社の現状分析に役立てて経営戦略の方向性を見極めていきましょう!
SWOT分析とは?
SWOT分析は、現状分析して今後の経営戦略の方向性を見極める際に有効な手法です。
企業の「内部環境」と「外部環境」のプラス要素とマイナス要素を浮き彫りにすることで、市場の流れや不測のリスクに対して企業としての打ち手を考え、経営戦略を立てやすいといわれています。
下表のようなマトリックスに4つの視点を整理することで経営戦略の方向性を確認します。
プラス要素 | マイナス要素 | |
内部 環境 |
強み(Strengths) |
弱み(Weaknesses) |
外部 環境 |
機会(Opportunity) |
脅威(Threat) |
それでは、「強み(Strengths)」「弱み(Weaknesses)」「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」の4つの視点をわかりやすく事例を含めて紹介します。
SWOT分析の4つの視点「強み(Strengths)」
SWOT分析の4つの視点「強み(Strengths)」は、次の5つの項目から自社の長所となるところを挙げていきます。
- 経営者
- 人
- 販売
- 生産
- 財務
事例として、自動車販売・板金塗装を営む会社の「SWOT分析の強み」をご覧ください。
強み | |
経営者 |
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人 |
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販売 |
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生産 |
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財務 |
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お客様のことを常に考えた行動を心掛けて作業していることが強みになっているようですね。
このように、自社の強みを挙げていきましょう。
SWOT分析の4つの視点「弱み(Weaknesses)」
SWOT分析の4つの視点「弱み(Weaknesses)」は、次の5つの項目から自社の短所となるところを挙げていきます。
- 経営者
- 人
- 販売
- 生産
- 財務
事例として、自動車販売・板金塗装を営む会社の「SWOT分析の弱み」をご覧ください。
弱み | |
経営者 |
|
人 |
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販売 |
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生産 |
|
財務 |
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お客様のことを常に考えた行動を心掛けて作業している強みに対して、接客が弱いと対照的です。
職人肌の方が多く、お客様を拡大していくうえでお客様対応での難しさを感じておられるようです。
SWOT分析の強みと弱みは表裏一体にもなるのかもしれません。
このように、自社の弱みを挙げていきましょう。
SWOT分析の4つの視点「機会(Opportunity)」
SWOT分析の4つの視点「機会(Opportunity)」は、次の4つの項目から自社にとってビジネスの機会となるような環境変化を挙げていきます。
- 経営環境の変化/業界の動向
- 法律の改正
- 同業他社の動向
- 顧客の変化
事例として、自動車販売・板金塗装を営む会社の「SWOT分析の機会」をご覧ください。
機会 | |
経営環境の変化 業界の動向 |
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法律の改正 |
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同業他社の動向 |
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顧客の変化 |
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商圏となる地域は公共交通機関が不十分のため車社会ということで、法改正も伴い軽自動車の需要があがっている。合わせて板金や修理の需要が高まってきているという機会に恵まれているようです。
このように、自社にとってのビジネスの機会となるような環境変化を挙げていきましょう。
SWOT分析の4つの視点「脅威(Threat)」
SWOT分析の4つの視点「脅威(Threat)」は、次の4つの項目から自社の強みでも太刀打ちできないような環境変化を挙げていきます。
- 経営環境の変化/業界の動向
- 法律の改正
- 同業他社の動向
- 顧客の変化
事例として、自動車販売・板金塗装を営む会社の「SWOT分析の脅威」になります。
脅威 | |
経営環境の変化 業界の動向 |
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法律の改正 |
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同業他社の動向 |
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顧客の変化 |
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軽自動車の需要や板金、修理の需要などが高まっている反面、車両の保有率が下がっているうえに車検の価格競争に巻き込まれるという脅威があるということですね。
このように、自社の強みでも太刀打ちできないような環境変化を挙げていきましょう。
SWOT分析を始める前にしておくべきたった1つのこと
SWOT分析を始める前にしておかなければならないことがあります。
それは「目的意識を持つこと」です。
今回、事例で挙げさせていただいたSWOT分析は、数年前にある経営者の方から「売上が上がってきているのにお金がないんだよね」という一言から始まりました。
「売上を上げたい!資金繰りをなんとかしたい!」
経営者の方のそんな想いをうけとり、まずは現状把握をしましょう!という流れでSWOT分析をおこないました。
SWOT分析を始める前は、何のためにするのか?という目的意識を持つことが大切です。
なぜなら、目的意識がないと重要性の低い内容や目的と関連性のない内容も列挙されてしまい、せっかく挙げた情報をどういかしていいのかわからなくなるからです。
「こうなりたい」という目的意識をもってSWOT分析をすることで、無駄なく網羅された情報を引き出すことができるのです。
SWOT分析はどのようにするといい?
今回、事例で挙げさせていただいたSWOT分析は、数年前にある経営者の方が自社のことを想い、ほぼ一人で考えられました。
SWOT分析は個人作業でもいいですが、全スタッフを集めて集団で作業をすると、より多角的な見方で「強み」「弱み」「機会」「脅威」を引き出すことができます。
大きな紙などにSWOT分析の表を書き、各自付箋で貼ってもらう方法です。
一通りみんなの意見が出たところで、似通った内容はグルーピングします。
似通った内容は1つの項目にまとめて箇条書きでまとめるとすっきりとまとまったSWOT分析になります。
このように内部環境の「強み」「弱み」と外部環境の「機会」「脅威」を洗い出すことで、現在の自社の位置づけを総合的に判断できる材料がそろうことになります。
この後は、SWOT分析で出てきた各要素をクロスSWOT分析やバランス・スコアカード(BSC)などのフレームワークを使ってより細かく展開し、経営計画や経営戦略を策定していきます。
まとめ|SWOT分析とは経営戦略の方向性を見極める4つの視点
SWOT分析とは、「強み(Strengths)」「弱み(Weaknesses)」「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」の4つの視点をもって自社の現状分析して今後の経営戦略の方向性を見極める際に有効な手法です。
SWOT分析の4つの視点のうち「強み(Strengths)」「弱み(Weaknesses)」は、次の5つの項目から自社の長所または短所となるところを挙げていきます。
- 経営者
- 人
- 販売
- 生産
- 財務
SWOT分析の4つの視点「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」は、次の4つの項目から自社にとってビジネスの機会となるような環境変化または自社の強みでも太刀打ちできないような環境変化を挙げていきます。
- 経営環境の変化/業界の動向
- 法律の改正
- 同業他社の動向
- 顧客の変化
また、SWOT分析は個人作業でもいいですが、全スタッフを集めて集団で作業をすると、より多角的な見方で「強み」「弱み」「機会」「脅威」を引き出すことができますので、ぜひ全スタッフでSWOT分析をしてみてください。
あなたの会社の現状分析を整え、経営戦略の土台としていきましょう!