中小企業が自社分析するには、まず初めに「3C分析」をするといいでしょう。
目まぐるしく情報が飛び交い、情報過多になっている現代において、いい商品・サービスを作れば売れるという時代は遠い昔の話です。
例えば、大企業が参入している市場で普通に同じような商品・サービスを持ってきても簡単にたちうちできません。たとえそれが大企業よりもいい商品・サービスだったとしてもです。
では、私達、中小企業はどうすればいいのか?
中小企業は、自社分析して自社が生き残れる道すじを立てていかなくてはなりません。
3C分析は簡単な5つの質問でできます。
あなたの会社だけのビジネスプランで市場の荒波を乗り越えていきましょう!
自社分析の方法!3C分析とは?
3C分析とは次の3つの頭文字「C」のことを言います。
- Customer(市場・顧客)
- Company(自社)
- Competitor(競合)
簡単に説明すると
- Customer(市場・顧客)…「あなたのお客様はどこにいてどんな人なのか?」
- Company(自社)…「あなたの会社の強みは何なのか?」
- Competitor(競合)…「あなたの会社の強みは競合他社と比べてどうなのか?」
さて、あなたの会社の3Cは出てきましたか?
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実は、意外と出てこないものなのです。
それは、良い商品・サービスを作れば大丈夫とあぐらをかいているからかもしれません。
例えば、のどが渇いて冷たい水が欲しいと言っている人に最高級の黒毛和牛を出しても「No!」と言われます。
それでは要求通りにと冷たい水を用意したとしても、ほかの人が富士山のふもとの冷水や熱中症対策にと経口補水液を用意して来たら?
のどが渇いて冷たい水が欲しいという人はどの水を選ぶでしょうか?
実は自社分析において3C分析ができると、どこの市場でどんなお客様に競合他社と差別化した商品・サービスを提供できるかを知ることができ、あなたの会社だけのビジネスプランを立てることができるのです。
3C分析を簡単にする5つの質問
実際に3C分析をしてみましょう!
ここに簡単なフォームがあります。
簡単に3C分析をするうえで、次の5つの質問に沿って考えてみるといいでしょう。
- お客様はどこの誰か?
- お客様が求める価値は?
- 自社の強みは?
- 競合他社は?
- 競合と比較して差別化できる優位点は?
それでは、1つずつ質問を見ていきます。
①お客様はどこの誰か?
3C分析の「Customer(市場・顧客)」は、あなたのお客様はどこにいてどんな人なのか?ということを把握することから始まります。
市場環境やお客様の動向を分析するときは「PEST分析」という外部環境を把握するためのフレームワークと組み合わせるといいと言いますが、今回は簡易的に次の4つの項目から考えてみましょう。
- 業界の市場規模
- 市場の今後の展望
- 顧客のニーズ
- 顧客の購買・消費行動
例えば、あなたの会社は経口補水液を売っていたとしましょう。
経口補水液は軽度から中等度の脱水状態の方の水・電解質を補給・維持するのに適した病者用食品であるため、健康な人には縁がないと思われがちです。
そこで、視点をこれから必要とされる状況になるかもしれない人にあててみます。
とある記事によると、家庭菜園の市場が年々増加傾向にあります。
家庭菜園といえばシニア世代が中心ですが、昨今30~40代の若年層の取り込みも強化されていて今後の成長が十分に期待できます。
30~40代の若年層は家庭菜園にはまだ疎く、慣れているシニア世代であっても家庭菜園中の熱中症の危険性を背中合わせになります。
そこで、お客様は「これから家庭菜園を始める30~40代の若年層」とします。
(参考:株式会社共同通信社「「陸海空の現場~農林水産」家庭菜園市場の活性化に期待」)
②お客様が求める価値は?
お客様が求める価値は、実際にお客様に聞いてみるとか、ネット上の口コミを調べてみるところからしていきましょう。
今回は簡単に「Yahoo!知恵袋」からみてみます。
「経口補水液」と検索すると次のような検索結果が出てきます。
経口補水液で飲みやすいのはどれ?とか、塩分が高い?とか、飲みすぎても大丈夫?とかいろいろ出ています。
この不安を取り除いてあげることがお客様が求める価値の一つになると言えるでしょう。
実際には、Yahoo!知恵袋だけではなく、ほかの口コミサイトや実際のお客様の声や身内の声など幅広く情報収集をします。
そうすることで、お客様が求める価値を一方に偏らせることなく得ることができるでしょう。
③自社の強みは?
3C分析の「Company(自社)」は、あなたの会社の強みは何なのか?ということを把握することになります。
自社の強みは、①お客様はどこの誰か?②お客様が求める価値は?を把握し、自分のビジネスが成功するためには何が必要なのかを考えます。
自社の強みを知るためには「SWOT分析」が有効です。
SWOT分析の頭文字は「強み(Strength)」「弱み(Weakness)」「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」を表しています。
「強み(Strength)」「弱み(Weakness)」は内部要因であり、企業や個々の社員が持っている能力や資源のことです。どちらも自分たちの努力や工夫でコントロールすることができます。
一方、「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」は外部要因であり、どんなに努力をしても企業や個々の社員の力では変えられないものです。
しかし、いざSWOT分析を始めようとしてもなかなか難しい場合は、事前に「販売力分析」と「体力分析」をしておくことをおすすめします。
「販売力分析」とは売上のもとになる販売力を分析するもので、次のような内容を簡単に〇✕で答え、把握することです。
- 市場はあるか?
- 商品の品質は?
- 価格は妥当か?
- 競合力はあるか?
- 営業力はあるか?
- シェアは高いか?
- 顧客満足度は?
- 戦術は十分か?
- 今後の見通しは?
〇が付いた内容は自社の強みにつながりますし、✕は今後の課題として強みに転嫁できないか考えることができます。
「体力分析」とは、企業の体力を分析するもので、次の3つの項目をもとに自社の現状を把握していきます。
- 「基礎力」・・・企業風土の分析
(例)挨拶・お客様対応・設備環境など - 「組織力」・・・運営・機能面の分析
(例)経営方針・社員教育・会議運営など - 「発展力」・・・開発姿勢・経営視野面 の分析
(例)新商品開発・異業種交流・先行投資意欲など
いかがですか?
「販売力分析」と「体力分析」をするだけでも、自社の強みや今後の課題が十分出てくるかと思います。
最後に、次の表でSWOT分析をして自社の強みを明確にしていきましょう。
強み(S) | 弱み(W) | |
内部 環境 |
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機会(O) | 脅威(T) | |
外部 環境 |
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自社の強みが何かみえてきましたか?
ここからクロスSWOT分析もできるのですが、今回はここまでに置いておき、次に進みます。
④競合他社は?
3C分析の「Competitor(競合)」は、あなたの会社の強みは競合他社と比べてどうなのか?ということを見ていきます。
競合他社のことを調べるのは、実は難しくて、成功事例や結果を雑誌やネット上で公表しているところを探したり、異業種交流会など経営者が集まるところで聞いたり、成功者の講演などに参加したりなどあらゆるところから情報収集する必要があります。
情報収集のポイントは、「成功した結果」と「結果の過程」です。
例えば、ユニクロ(UNIQLO)の機能性商品「エアリズム」を利用したマスク。
ユニクロは「エアリズムマスク」を6月19日から全店で販売する。価格は1パック3枚組で990円。実店舗とオンラインストアで売るが、初回は1人各サイズ1パックの計3パックまでに制限する。発売後は毎週50万パックを継続的に生産し、海外の店舗でも順次発売する予定。発売後も客の意見をもとにマスクは改良していくという。
客の声をもとにマスクとしての「防御性能」「洗濯ができる」「付け心地」の三つのポイントを重視して開発した。防御機能を高めるために表側のメッシュ素材と顔に触れる部分のエアリズム素材の間にバクテリア飛沫(ひまつ)捕集(BFE)99%カットの高性能フィルターをはさんだ3層構造にした。表側のメッシュ部分にはUV(紫外線)プロテクション機能も持たせた。
この記事での「成功した結果」は毎週50万パックの継続的生産につなげたことであり、「結果の過程」はお客様の声をもとにマスクとしての「防御性能」「洗濯ができる」「付け心地」の三つのポイントを重視し、すでに速乾性の高いインナーとして名前が浸透しているエアリズムの素材を使用して3層構造などの付加価値をもたせたことです。
もちろん、この記事からは見えない戦略的な部分もあるはずです。
ただ、顧客の要望により、すでにある素材を利用した新商品で成功しているのは、理想ではないでしょうか?
ネット上には大きな企業の事例はたくさんあります。
大きな企業からもヒントはたくさん得られます。
しかし、小さな会社はどうでしょうか?
例えば、裏メニューが有名な地元のお店。
常連さんが注文するオリジナルメニューが密かにおいしいと評判になり看板メニューになるパターンです。
「成功した結果」は、裏メニューから看板メニューに昇格で、「結果の過程」は、常連さんが注文するオリジナルメニューが密かにおいしいと評判になる口コミになります。
競合他社の情報をできる限り集めて、あなたの会社の強みと比べてどうなのか?みていきましょう。
⑤競合と比較して差別化できる優位点は?
いよいよ、3C分析における5つの質問の最後の質問です。
ここまで、3C分析の5つの質問である①お客様はどこの誰か?②お客様が求める価値は?③自社の強みは?④競合他社は?までやっとできました。
最後はこちらです。
⑤競合と比較して差別化できる優位点は?
一見、自社の強みのように思えますが、自社の強みは必ずしも競合と比較して差別化できる優位点ではありません。
自社の強みだと思っている部分も競合の強みだったりする場合があるからです。
競合と比較して差別化できる優位点が見つかれば、最強です。次のことを書き出してみましょう。
- 競合他社にはできて(あって)自社にはできない(ない)こと
- 競合他社にはできて(あって)自社にもできる(ある)こと
- 競合他社にはできなくて(なくて)自社にはできる(ある)こと
- 競合他社にはできなくて(なくて)自社にもできない(ない)こと
競合他社にはできて(あって)自社にはできない(ない)場合は、あえて戦わないか隙間がないか多角的にとらえてみるといいでしょう。
競合他社にはできて(あって)自社にもできる(ある)場合は、付加価値をつけましょう。
競合他社にはできなくて(なくて)自社にはできる(ある)場合は、より強化しましょう。
競合他社にはできなくて(なくて)自社にもできない(ない)場合は、これからできるようになればその業界の先駆者になるでしょう。
このように、競合他社と比較して差別化できる優位点をみつけることで、自己分析がより深まり、あなたの会社だけのビジネスプランが確立できるでしょう。
あなたの大切なお客様に一番心に響く言葉で、あなたの商品・サービスを打ち出していきましょう!
【3C分析】5つの質問のテンプレート(PDF)無料配布
はじめに例で上げていた経口補水液を売りたい会社の3C分析を仮に作ってみました。
このような感じでつくってみてはどうでしょうか?
いろいろ自己分析していくうちに書ききれなくなるかもしれません。
たくさん書いて話し合い、最終的に簡潔に1枚のA4サイズで収まるようにしてみましょう。
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まとめ:自社分析の方法!まずは3C分析で簡単に
中小企業は、自社分析して自社が生き残れる道すじを立てていかなくてはなりません。
自社分析する方法として、5つの質問で簡単にできる「3C分析」を使います。
「3C分析」とは次の3つの頭文字「C」のことを言います。
- Customer(市場・顧客)
- Company(自社)
- Competitor(競合)
簡単に3C分析をするうえで、次の5つの質問に沿って考えてみるといいでしょう。
- お客様はどこの誰か?
- お客様が求める価値は?
- 自社の強みは?
- 競合他社は?
- 競合と比較して差別化できる優位点は?
3C分析で自己分析して、あなたの会社だけのビジネスプランで市場の荒波を乗り越えていきましょう!