決算書はいつまでに作成すればいいでしょうか?
もし間違えたら?間に合わなかったら?
そんな時どうすればいいか不安ですよね。
この記事では、決算書の作成時期や期限、間違った場合や間に合わなかった場合の対処法などを簡単にお伝えします。
本来は、決算書は正しく作成し、期限に間に合わせなくてはなりません。
万一間違った場合や間に合わなかった場合の対処法を確認した上で、決算書の準備が間に合うようにスケジュールを組んでいきましょう!
決算書はいつまでに作成すればいい?
決算書の作成時期は、通常、法人の場合、事業年度終了し、2ヶ月後の決算申告期限までに作成します。
3月末の決算であれば、2ヶ月後の5月申告になりますので、5月31日が申告期限です。
8月20日の決算であれば、2ヶ月後の10月申告になりますので、10月20日が申告期限です。
つまり、決算書は、事業年度後から決算申告期限内に作成しなければいけません。
ただし、申告期限となる日が、土日祝日などの場合は、その翌日(平日)が期限となります。
期限があるのは決算書だけではない!
冒頭より、決算書の作成時期の話をさせていただきましたが、作成期限がある書類は決算書だけではありません。
決算書を作ったら、決算申告書も必要になります。
ここで、決算書と決算申告書とはどのようなものか、簡単に説明します。
決算書とは、会社を事業年度である1年間経営してきた財政状況や経営成績を表したものです。そして、決算申告書とは、その決算書や各種資料をもとに課税される利益を計算し、納税する税額を決めるものです。
つまり、決算書がないと決算申告書が作成できないので、決算書は事業年度終了後、なるべく早く決算書を作成することが望ましいです。
とはいえ、締め後の売上や仕入、経費があるので、事業年度終了後にすぐ完成とまでは難しいですが、締め後がわかり次第、決算書が作成できるよう準備しておくとよいでしょう。
会社によっては請求書の締め日を20日にしている場合があります。
例えば、3月決算の場合、4月の請求書は「3/21~4/20」と3月分が含まれています。4月請求書ではありますが、3月末までの分は3月の決算書に入れなくてはなりません。
決算申告に間に合わない場合は?
決算書と決算申告書が期限に間に合わない場合は、期限後申告することになります。
もしくは、例えば災害などにより決算が確定しなくて「申告期限の延長の特例」に該当するなら、申請書を提出して期限を延長してもらうことになるでしょう。
それでも場合によっては、各種加算税、延滞税が課せられることがあります。
決算申告に間に合わなかった場合の各種加算税、延滞税は次のとおりです(ここでは簡潔に説明しているため、詳しくは国税庁HPでご確認ください)。
無申告加算税 | 申告期限内に申告しない場合 |
無申告加算税の加重 | 無申告加算税に該当し、納付すべき税額が50万円を超える場合 |
重加算税 | 無申告の理由が隠蔽や仮装などの場合 |
延滞税 | 納付期限内に完納しない場合 |
さらに、決算書と決算申告書の提出を怠ることで、税務上の優遇措置や減税の機会を逃すことにもなりかねません。
決算書と決算申告書の提出が間に合わないことで、いろんな不利益を被ることになるんですね。
申告期限に間に合わないかもと思った場合は、速やかに専門家や税務当局に相談し、適切な措置を講じるようにしましょう。
決算書を間違えて作成した場合は?
決算書を作成する際、誰もが正しくできればいいのですが、例えば、間違えて記入したり、重要な項目を見落としたりすることがないとは言い切れません。
決算申告書を作成する前に気が付いて修正できればいいのですが、決算書の作成がギリギリになると間違いに気が付かずそのまま決算申告書を作成し提出に至ってしまうこともあります。
そのような場合は、間違えた決算書と決算申告書を修正したり、誤った税額を訂正したりする方法があります。
修正申告【税額に不足がある場合など】
決算書と決算申告書を提出した後で、税額に不足があることに気付いた場合、修正申告ができます。
修正申告は、誤って少ない税金を納付した場合などに行う方法です。
自分で間違いに気づいて、速やかに修正申告を行うことで、適正な税金を納めることができ、各種加算税、延滞税を抑えることができたり、回避できたりする場合があります。
更正の請求【税額が多すぎた場合など】
逆に、税額が多すぎることに気付いた場合、更正の請求を行うことができます。
更正の請求は、過剰に納めた税金を返還してもらう手続きです。
過去の誤った申告を修正し、過払い分の返納を受けることができます。
重要なのは、間違いに気づいたら早めに行動することです。
修正申告や更正の請求を怠ると、余分な支払いをすることになり、資金を無駄にすることになりかねません。
専門家の助言を受けながら、正確な手続きを踏むことが大切です。
決算書作成のスケジュール
決算書が間に合わない、間違えてしまうなんてことがないように、決算書の作成にはスケジュールを立てることが大切です。
適切なスケジュールを立てることで、タスクを効率的にこなし、期限を守ることができます。
ここでは、決算書作成のスケジュールについて説明します。
①情報収集とデータ整理
決算書の作成を始める最初のステップは、必要な資料を収集し、会計データを整理することです。
通常、企業は事業年度が終了したらすぐにこのステップを始めます。
毎月試算表を作っている場合は、毎月整理されており、最終月の会計データと決算整理分の資料を集めればいいので、決算業務をスムーズに進むことができます。
②決算書の作成方法
次に、収集した資料や会計データをもとに決算書を作成します。
決算書には、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書(上場企業のみ)、株主資本等変動計算書、個別注記表などがあります。
一つ一つの仕訳が間違いないか確認し、その積み重ねで決算書が作られていきます。そのため、毎月チェックできていると、一気に1年分仕訳を確認しなくても済むので効率的です。
③税務申告の準備
最後に、決算書の準備が整ったら、税務申告のための準備を始めます。
企業によっては、外部監査人による監査が必要な場合もあるので早めに準備するようにしましょう。また、決算書を作成したら決算申告書の準備も必要です。決算申告書で税金の計算を行います。
決算書作成のスケジュールは、企業の大きさや複雑さによって異なります。しかし、スケジュールをしっかり立て、タスクを適切に分配することで、スムーズな決算書の作成が可能になります。
決算書の種類
ここからは、決算書の種類をお伝えしていきます。
どの決算書がどんなことを読み解くためのものなのか知っておきましょう。
①貸借対照表
貸借対照表は「ある時点における企業の財政状態」を表します。
貸借対照表は「資産の部」「負債の部」「純資産の部」と大きく3つにわけることができます。
「資産の部」は資金の運用形態を表し、どこにお金が使われたかを示しています。
「負債の部」と「純資産の部」は資金の調達源泉を表し、どこからお金が入ってきたかを示しています。
その中でも「負債の部」はいつか返さなくてはならない「他人資本」といいます。「純資産の部」は返さなくてもいい「自己資本」といいます。
こちらの記事で、貸借対照表の見方を詳しく解説しておりますので、あわせてご覧ください。
>>貸借対照表の見方!初心者でもわかりやすい健康診断で例えます!!
②損益計算書
損益計算書は「一定期間の企業活動の経営成績」です。
次の5つの利益は注目しておきましょう。
- 売上総利益(うりあげそうりえき)
- 営業利益(えいぎょうりえき)
- 経常利益(けいじょうりえき)
- 税引前当期純利益(ぜいびきまえとうきじゅんりえき)
- 当期純利益(とうきじゅんりえき)
損益計算書をみれば「いくら売れているのか?」「儲けはどれだけあるのか?」がわかります。
しかし、損益計算書をそれだけにしか使わないのはもったいないです。
損益計算書の見方がわかれば「今月はあとどのくらい売ったらいいのか?」「割引したらどうなのか?」など簡単に予測することもできます。
こちらの記事で、損益計算書の見方を詳しく解説しておりますので、あわせてご覧ください。
>>損益計算書の見方!初心者がみるべき5つの利益と赤字にしない為には?
③キャッシュフロー計算書
キャッシュフロー計算書は「一定の期間におけるお金の流れを表すもの」です(上場している企業が作成するので、ほとんどの中小企業は作成不要です)。
「営業活動によるキャッシュフロー」「投資活動によるキャッシュフロー」「財務活動によるキャッシュフロー」の3つのキャッシュフローからできています。
- 営業活動によるキャッシュフロー
→会社の本業である営業活動で稼いだお金 - 投資活動によるキャッシュフロー
→将来に向けて投資、または過去の投資を売却したお金 - 財務活動によるキャッシュフロー
→企業の財務に関する資金調達、または返済したお金
キャッシュフロー計算書をみれば、「企業の資金がなぜ足りなくなったのか?」「儲けたお金はどこに流れたのか?」といったお金の流れがわかるようになります。
こちらの記事で、キャッシュフロー計算書の見方を詳しく解説しておりますので、あわせてご覧ください。
>>キャッシュフロー計算書の見方!ポイント3つをおさえて分析しよう!
④株主資本等変動計算書
株主資本等変動計算書は、「企業の株主資本に関連する変動を示すもの」です。
この計算書は、次のように、特定期間内における株主資本に関連する出来事や取引の内容を記載します。
- 新株の発行と増資
- 自己株式の取得と減資
- 利益配当と剰余金の取扱い
株主資本等変動計算書は、企業の株主資本の変動を把握する上で重要な情報源となります。
株主資本の変動は、企業の資金調達や資本構造に影響を及ぼすため、投資家や経営者、金融機関などが企業の健全性を判断する際に参考となります。
⑤個別注記表
個別注記表は、「企業の決算書に含まれる数字や項目について補足情報を提供するもの」です。
通常の決算書の数字だけでは情報が不十分である場合、特定の項目や取引に関する詳細な説明や補足情報が必要となります。
こうした情報を提供するために、個別注記表が利用されます。
個別注記表は、主に次のような内容が書かれています。
- 資産の評価方法
- 会計処理の方針
- 重要な取引の内容
- その他の補足情報
企業の財務情報を評価する際には、個別注記表の情報を適切に理解し、決算書全体の情報を総合的に判断することが重要です。
⑥計算書類の付属明細書
計算書類の付属明細書は、「企業の決算書に含まれる数字の詳細な計算過程や補足情報を提供するもの」です。
通常の決算書では数字だけでは情報が不十分である場合、特定の項目や取引に関する具体的な計算方法や裏付け情報が必要となります。
こうした情報を提供するために、計算書類の付属明細書が利用されます。
例えば、固定資産減価償却内訳明細書、監査報告書、取締役会議事録などが挙げられます。
⑦法人事業概況説明書
法人事業概況説明書は、「企業の業績、事業内容、経営の成果や課題などを説明するもの」です。
決算書だけでは伝えきれない企業の背景情報や将来の展望を提供するための重要な報告書となります。
法人事業概況説明書は、投資家や金融機関、取引先などの関係者に対して、企業の経営状況や戦略を理解する上で重要な情報源となります。
特に投資判断や信用評価を行う際には、決算書とともに法人事業概況説明書を総合的に読み解くことが求められます。
①~⑦の決算書や付属明細書は、企業の財務情報を評価し、分析するために非常に重要です。
それぞれの情報を適切に理解し、組み合わせて分析することで、より全体像を把握することができます。
まとめ|決算書はいつまでに作成?期限内申告できる準備しよう!
ここまで、決算書の作成時期や期限、間違った場合や間に合わなかった場合の対処法などをお伝えしました。
法人の場合、決算書はいつまでに作成するとよいかというと・・・
「事業年度終了後なるべく早く作成するか、遅くとも事業年度後から2ヶ月後の決算申告期限内に作成」です。
決算書は、なるべく早く作成することで間違いや不備にいち早く気が付くことができ、精度が高まります。
正確な決算書を作成することは、財務の健全性を保ち、成長への道を切り拓くために必要なことです。
決算書の作成時期は、申告期限ギリギリにせず、ゆとりをもって作っていきましょう。
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