どんなに健全な事業の運営をしていても、資金繰りの課題や悩みを抱えることはあるでしょう。
その中でも売掛金の管理はとても重要になります。
そのため、資金繰り表や売掛金の管理について正しく取り組むことで、事業の成長やキャッシュフローの安定につなげることができます。
この記事では、資金繰り表と売掛金の関係から売掛金の回収方法、具体的な問題点とその対処法までを簡単に解説します。
資金繰り表と売掛金管理に関する理解を深め、企業の経営の基盤を強化する手助けとなることでしょう。
資金繰り表と売掛金の関係とは?
資金繰り表も売掛金も事業をしていれば身近な言葉ではありますが、改めて何かときかれると、パッと答えられないこともありますよね。
ここでは、資金繰り表と売掛金についてお伝えしていきます。
資金繰り表とは?
資金繰り表は、企業が将来のキャッシュフロー(お金の流れ)を予測し、現金の収入と支出を管理するための財務ツールです。
具体的には、一定期間(通常は月次や四半期)の予想収入、予想支出、現金残高などをまとめた表を作ることになります。
資金繰り表は、事業の健全な運営やキャッシュフローの制御に不可欠であり、資金の適切な配分や支払いの計画立案に役立ちます。
売掛金とは?
売掛金は、商品やサービスの販売に伴って顧客から受け取る支払い代金のことを指します。
そして、例えば20日締めとか月末締めとか一定期間の取引に対して請求書を発行し、顧客に支払いを求める形でお支払いを促すようにします。
そのため、売掛金は商品やサービスの販売時期よりもしばらく後の入金になります。
つまり、売掛金は現金化されるまでの期間があるため、資金繰りに大きな影響を与えることになります。
資金繰り表と売掛金の関係性について
資金繰り表と売掛金は密接に関係しています。
資金繰り表には売掛金の回収予定額が含まれており、売掛金の管理と回収計画が資金繰りの健全性に影響を与えます。
売掛金の回収が円滑に進めば、予測した収入が実現し、現金の流入が増えるため、資金繰りの安定性が向上します。逆に、売掛金の回収が滞ると、現金の流入が遅れることで支払いに支障が生じ、資金繰りの圧迫要因となります。
資金繰り表を作成する際には、売掛金の回収予定を正確に予測し、支払いとのバランスを取ることが重要です。また、売掛金の回収を最適化するためには、売掛金の管理や回収プロセスの改善も考慮する必要があります。
なぜ資金繰り表は重要なのか?
前章より、資金繰り表と売掛金は密接に関係していることがわかりましたね。
ここからは、資金繰り表が事業の運営においてなぜ重要なのかをお伝えします。
まず、資金繰り表は、事業におけるキャッシュフローの管理や予測に欠かせないツールです。資金繰り表が重要な役割を果たすのは、次の3つの役割があるからです。
資金繰り表は、収入と支出を予測し、現金の流れを可視化することで、事業の現金管理と支出計画を行う上で重要な役割を果たします。事業の現金管理と支出計画で予想外の現金不足や支払いの遅延を回避し、事業の安定的な運営を支えます。
資金繰り表は、将来の資金が必要な時期を把握するためにも重要です。資金繰りの見通しを持つことで、必要な場合には適切なタイミングで資金調達や投資計画を行うことができます。
資金繰り表は、将来の現金の動きを予測し、予防策を講じる役割も果たします。現金不足や支払いの遅延などのリスクを事前に把握し、適切な予測や予防策を講じることで、事業の安定性を高めることができます。
資金繰り表の管理は、事業の持続可能性と成長に直結します。
また、正確な資金繰り予測だけでなく、適切な売掛金管理により、現金不足や滞納リスクの予防、事業のキャッシュフローの安定性を確保することができます。
継続的なモニタリングと改善を行いながら、資金繰り表と売掛金の管理を効果的に行い、事業の成功を支える基盤を築きましょう。
売掛金の回収方法5選
売掛金の回収は事業の健全性とキャッシュフローの安定性に大きな影響を与えます。
ここでは、効果的な売掛金の回収方法について、5つご紹介いたします。
①請求書の発行と明確な支払い期日の設定
顧客への請求書は、明確かつ正確に発行することが重要です。
請求書には売上の詳細や支払い期日が明示されている必要があります。支払い期日は顧客にとって適切であり、取引条件と一致することが重要です。
②迅速なフォローアップとリマインダー
売掛金の回収には迅速なフォローアップが欠かせません。
支払い期日を過ぎた場合や滞納があった場合には、顧客に対して適切なリマインダーを送ることが重要です。電話、メール、または自動化されたリマインダーのシステムを活用して、滞納の早期解決を図りましょう。
③柔軟な支払い条件の提案
まれに、顧客が支払えないという困難を抱えている場合もあります。
そのような場合は、柔軟な支払い条件の提案を検討することが重要です。例えば、分割払いや遅延手数料の免除など、顧客との合意に基づく解決策を模索しましょう。
ただし、柔軟さを持ちつつも、事業のキャッシュフローを損なわない範囲内での提案が重要です。
④自動化とオンライン決済の活用
売掛金の回収プロセスを効率化するためには、自動化とオンライン決済の活用が有効です。
請求書やリマインダーの送信を自動化し、支払いをオンラインで簡単に行える環境を整えることで、手間と時間を削減し、回収プロセスをスムーズにします。
⑤催促手続きの実施
支払いが滞った場合や回収が困難な場合には、催促手続きを実施する必要があります。
法的な手続きや専門の債権回収会社の活用など、適切な手段を選択しましょう。ただし、法的手続きや債権回収にはリスクや費用が伴うため、慎重に判断する必要があります。
以上、売掛金の回収方法についてのポイントです。
また、売掛金の回収は単なる金銭的な取引だけではありません。
顧客とのコミュニケーションを通じて信頼関係を築き、長期的なビジネスパートナーシップを育みましょう。支払いに関する問題が生じた場合にも、対話を重ねて解決策を模索することが重要です。
顧客との良好な関係構築は、回収プロセスの円滑化と将来のビジネスチャンスの創出につながります。
資金繰り表と売掛金に関する問題点と対処法
資金繰り表と売掛金の管理は、事業において問題が生じることも起こります。
ここでは、資金繰り表と売掛金に関する問題点とその対処法について説明します。
①売掛金の滞納や未回収
売掛金の滞納や未回収も資金繰りに大きな影響を及ぼす問題です。
顧客が支払い期日を守らず、回収が遅れる場合や債権が回収不能になる場合があります。
対処法としては、適切な売掛金の管理とフォローアップが必要です。催促手続きの実施、顧客とのコミュニケーションの強化などが有効な対策となります。
②資金繰りと売掛金の調整の困難さ
資金繰り表と売掛金の調整が難しい場合、現金不足や資金余剰の問題が生じる可能性があります。
資金繰り表は将来の収入と支出を見積もるため、売上予測の誤差や支出の変動によって予測と実績がずれることがあります。
対処法としては、より正確な予測と実績のモニタリングが重要です。さらに、短期的な資金調達や資金の適切な配分、効率的な資金運用なども検討する必要があります。
③プロセスの改善と自動化
資金繰り表と売掛金の管理において、手作業や煩雑なプロセスが問題となることがあります。
対処法としては、プロセスの改善と自動化が有効です。例えば、請求書の自動発行やリマインダーの自動送信、オンライン決済の導入など、効率化を図ることで時間と手間を節約し、正確性を高めることができます。
④統合的なシステムとツールの導入
資金繰り表と売掛金管理において、統合的なシステムとツールの導入は効果的な対処法です。
統合的なシステムとツールを使用することで、売掛金の管理や資金繰り表の作成、モニタリングが容易になります。
これにより、効率的で正確な資金繰りと売掛金管理が可能となります。
⑤継続的な改善と教育
資金繰り表と売掛金の管理は常に変化する状況に対応する必要があります。
対処法としては、継続的な改善と教育が不可欠です。定期的な分析を行い、問題点や改善の余地を見つけましょう。さらに、従業員への教育やトレーニングを実施し、資金繰りと売掛金管理に関する知識とスキルを向上させることも重要です。
組織全体での意識向上と改善の文化を育むことで、より効果的な資金繰りと売掛金管理が実現できます。
まとめ|資金繰り表と売掛金の関係は重要!事業の健全な運営をしよう!!
資金繰り表と売掛金の管理は、事業の健全な運営にとって欠かせません。
しかし、多くの企業が資金繰りの課題や売掛金の回収について課題や悩みを抱えています。
本記事では、資金繰り表と売掛金の関係から売掛金の回収方法、具体的な問題点とその対処法まで解説しました。
この記事を通じて、資金繰り表と売掛金管理の重要性や効果的な手法について理解を深めていただければ幸いです。
ビジネスの安定と成長に向けて、よりよい資金繰りと効果的な売掛金管理を実践しましょう。
また、資金繰り表をエクセルで一から作る方法もこちらで紹介していますので、あわせてご覧ください。
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