せっかく中期5ヵ年経営計画を立てたのに途中でうまくいかなくなった!
そんなことありませんか?
それは、ある3つの要件が1つでも欠けていたからかもしれません。
目標達成のためには、その3つの要件からなる「ロケット理論」という考え方があります。
この「ロケット理論」を念頭に置き、考え方や行動を切り替えることで、中期5ヵ年経営計画は実行可能になっていき、数年後の目標により近くなります。
本記事では、目標達成のための「ロケット理論」についてお話いたします。
誰もがつまずきやすい中期5ヵ年経営計画の計画実行と目標達成を乗り切り、会社の経営強化を図りましょう!
ロケット理論!目標達成するための3つの要件とは?
「人はなぜ月に行けたのか?」
ロケットが月に行けたのは「月に行こうと思ったから」といわれています。
偶然交通事故に遭うことはあっても、偶然「月」に行くことはありません。会社の経営目標とは、交通事故の類ではなく、「月に行く」という「志」を持ってこそようやく成就できる次元のものです。したがって「目標が明確になっていること」が第1の要件になります。
次に、ロケットが月に行けたのは「月に行くための方法論を具体化できたから」と言われています。
いくら月に行こうと思ってもどのようなロケットをいつまでに誰が作るのかを具体化し、自転公転や気候状況などの外部要因を踏まえシミュレーションを行ったうえで、ロケットを打ち上げることにより、初めて成功率が高まるのです。したがって「目標達成方法が具体化されていること」が第2の要件になります。
最後に、ロケットが月に行けたのは「軌道修正が的確であったから」と言われています。
月に行く過程にはさまざまな障害や予期せぬことが発覚し、当初の計画通りにいくことはなかなかありません。コンピューターを駆使し、タイムリーに現在位置を確認するとともに「ズレ」を修正しながら目標に向かって突き進んでいくことで目標達成できたのです。したがって「達成管理をする仕組みが確立されていること」が第3の要件になります。
まとめますと・・・
- ロケット理論【要件①】目標が明確になっていること
- ロケット理論【要件②】目標達成方法が具体化されていること
- ロケット理論【要件③】達成管理をする仕組みが確立されていること
この3つの要件がそろったからこそ、人は月に行くことが出来たのです。
それでは「ロケット理論」の3つの要件についてより詳しくお話いたします。
ロケット理論【要件①】目標が明確になっていること
ロケット理論の1番目の要件は「目標が明確になっていること」です。
目標が明確になるためには、次の2つのポイントが大切です。
- 数値化
- 共有化
それでは、目標が明確になるための「数値化」と「共有化」についてお伝えします。
①数値化
まず、目標が明確になるポイントとして「数値化」することがあげられます。
これは、目標が誰が見ても同じであることが重要だということです。
経営者から従業員に「売上を上げてこい」とはっぱをかけたとします。
従業員は売上を上げてこいといわれても「前年比から上げればいいのか?」「前月より多く売ればいいのか?」と困ることになります。
例えば、陸上選手がコーチに「100メートルを早く走れ」と言われても、Aさんは「9秒台で走れと言われているのかな~」と思うし、Bさんは「私の記録から考えると10秒台いければいいのかな~」と思います。「早く」だけでは人によってとらえ方は違うのです。
この場合、コーチが「100メートルを10秒切るように走りなさい」と具体的な数値で表していればAさんもBさんも「10秒台切るように走る」と同じ認識になったでしょう。
同じように、売上も具体的な数値で明確にしないと伝わりません。
解釈する人によって異なってしまわないよう数値化すること、これが目標が明確になるためのポイントの1つ目です。
②共有化
次に、目標が明確になるポイントとして「共有化」することがあげられます。
これは、目標に向かってベクトルを統一することになります。
中期5ヵ年経営計画をせっかく作っても会社の本棚や金庫の中にしまうのでは意味がありません。
できれば従業員の方に伝えていただき、全社一丸となって、5年後のあるべき姿にどうするとなれるのかをどうしたらいいかを一緒に考えるのが好ましいです。
その際に中期5ヵ年経営計画をコピーして全従業員に渡して、経営者が自分の言葉でこの中期5ヵ年経営計画に込めた想いを伝えることが最善であるといわれています。
しかし、会社にもいろんな事情があります。
自分の会社にあった共有化を工夫するといいでしょう。
また、最近では「経営計画発表会」を行う会社が増えてきています。
従業員向けや取引先・取引銀行なども招待して中期5ヵ年経営計画の共有化をされる会社もでてきました。
会社の経営目標は全ての従業員の協力がなければ達成できません。
目標の共有化で全社のベクトルが統一されること、これが目標が明確になるためのポイントの2つ目です。
ロケット理論【要件②】目標達成方法が具体化されていること
ロケット理論の2番目の要件は「目標達成方法が具体化されていること」です。
目標達成方法が具体化されるためには、次の2つのポイントが大切です。
- 目標の細分化とプロセス化
- 実行する人が具体化する
それでは、目標達成方法が具体化されるための「目標の細分化とプロセス化」と「実行する人が具体化する」ことについてお伝えします。
①目標の細分化とプロセス化
まず、目標達成方法が具体化されるためのポイントとして「目標の細分化とプロセス化」することがあげられます。
目標の細分化とプロセス化は、経営者一人でできるものではありません。
実際に経営計画を実行する人も含めて目標の細分化とプロセス化を行うのが好ましいと言われています。
目標達成の具体化方法には「トップダウン方式」と「ボトムアップ方式」の2つの方法があります。
実際に経営計画を実行する人も含めるため、できれば「従業員参加型のボトムアップ方式」が効果的です。
「従業員参加型のボトムアップ方式」は、例えば、経営者が従業員に「会社をこうしていこう!」といいます。しかし実際に動くのは従業員です。目標達成するためにどんなことをするといいかを従業員が考え、下から上に意見をあげます。
このように「従業員参加型のボトムアップ方式」は「目標の細分化とプロセス化」の1つの方法として有効です。
「従業員参加型のボトムアップ方式」は時間と労力がかかりますが、経営者と現場である従業員の意見をすり合わせながら積み上げていくことにより「実現可能性の高い計画」ができますし、経営計画づくりに参画したことにより「現場責任者の経営意識が向上する」という効果も得ることができます。
ただし、経理などの公開が前提となるため、経営者にとっては少し勇気がいるかもしれません。
最初は無理をせず、トップダウン方式からスタートし、土壌が育ってからボトムアップ方式に移行するのも、1つの手です。
②実行する人が具体化する
次に、目標達成方法が具体化されるためのポイントとして「実行する人が具体化する」ことがあげられます。
実行する人が具体化することとは、アクションプラン(行動計画)に落とし込むことです。
5W1Hというように、いつ、誰が、何を、どこで、どのように役割を果たす事で目標達成できるのかを、かみ砕き成功へのシナリオを作ります。
数値計画とその裏付けとなる行動計画は表裏一体の関係にあり、目標達成方法の具体化にどちらも欠かすことが出来ません。
ロケット理論【要件③】達成管理をする仕組みが確立されていること
ここまでの段階で「志立ちて半ば成就」の例えどおり、目標達成の要件①目標が明確になっていること、要件②目標達成方法が具体化されていることが満たされました。
この段階で目標は50%達成できたようなものです。
しかし、実際にやっていくとなかなかうまくいかない、想定外のことがたくさん起きるということが現実です。
こういったときに、ロケット理論の3番目の要件である「達成管理をする仕組みが確立されていること」ができているかどうかが鍵になります。
達成管理をする仕組みが確立されるためには、次の2つのポイントが大切です。
- ズレがタイムリーにわかる仕組み
- ズレを軌道修正する仕組み
それでは、達成管理をする仕組みが確立されるための「ズレがタイムリーにわかる仕組み」と「ズレを軌道修正する仕組み」についてお伝えします。
①ズレがタイムリーにわかる仕組み
まず、達成管理をする仕組みが確立されるためのポイントとして「ズレがタイムリーにわかる仕組み」をつくることがあげられます。
ズレがタイムリーにわかる仕組みとはどのようなものでしょうか?
カーナビに例えてみましょう。
カーナビは目的地をいれると最適なルートを案内してくれますが、もし道を間違えて曲がってしまった場合、元のルートに戻る方法を教えてくれます。しかもタイムリーに教えてくれるため元のルートから大きく外れることなく元のルートに戻ることが出来ます。
それでは、経営計画と実績のズレが1か月後にわかるのと3か月後にわかるのではどうでしょうか?
1か月後なら、軌道修正がしやすいものです。
3か月後では、ズレがさらに大きくなってしまいます。
ズレがわかるのが1か月後と3か月後では軌道修正にかかる労力が大きく違うということは一目瞭然ですね。
だからこそ、毎月の「ズレ」がわかるような仕組みを工夫してもらうことが重要です。
例えば「今月の売上目標は1,000万円だが、850万円だった」「30件のお客様のところに訪問する予定が、23件しか訪問できなかった。」というように、毎月の実績を出したり、行動計画の進捗状況を把握したりなどをすると目標からズレているかどうかがわかるようになります。
もしズレがわからないまま放置し、同じようなズレが毎月続いた場合、このようになります。
⇩
3ヶ月後 売上450万円と訪問21件の差
この数値や行動計画を取り戻すのは大変なことでしょう。
「ズレ」はタイムリーにわかるようにすることが大切です。
さらに、どうしてそのような結果になったのかと原因もつかめると今後の対策により効果的ですね!
このように、計画の数値面だけではなく行動面に関しても、この「ズレ」がタイムリーにわかる仕組みを確立することが達成管理に欠かせないのです。
②ズレを軌道修正する仕組み
次に、達成管理をする仕組みが確立されるためのポイントとして「ズレを軌道修正する仕組み」をつくることがあげられます。
経営計画のズレがわかっても何もしなかったらズレたままですよね。
これでは、いつまで経っても目標達成できません。
「ズレ」がわかったら軌道修正する仕組みが必要となるのです。
できれば「経営会議」を毎月月初に開催し、先月の結果を踏まえ、今月以降どのような手を打って改善していくのか意思決定し、即行動に移します。
ここで「知恵」を絞れた会社が存続し発展していきます。
経営者は、どのような状況でも環境のせいにできません。
経営者は従業員と協力し、あらゆる知恵を駆使して、環境に適応し、生き残りのための「手」を打って行かねばなりません。
小さな会社であっても、経営者ひとりでこれを実践して行かなければ、よい経営どころか生き残ることもできません。
以上の2つの仕組みにより軌道修正が的確に行われた会社が目標達成できるのです。
実際に、中期5ヵ年経営計画立案セミナー「将軍の日」で話した「ロケット理論」の動画をご覧ください。
経営計画を達成するために「ロケット理論」思考になりましょう!
まとめ|ロケット理論で中期5ヵ年経営計画の目標を達成させよう!
中期5ヵ年経営計画の目標達成するためには「ロケット理論」という考え方を取り入れるとよいでしょう。
この「ロケット理論」とは「人はなぜ月に行けたのか?」という問いから、月に行けた3つの要件を導き出しています。
「ロケット理論」の3つの要件は次の通りです。
- ロケット理論【要件①】目標が明確だった
- ロケット理論【要件②】目標達成方法が具体化できた
- ロケット理論【要件③】達成管理をする仕組みが確立された
この3つの要件がそろったからこそ人は月に行くことが出来たのです。
この「ロケット理論」は、中期5ヵ年経営計画だけにとどまらず、どんなことにでも活用できます。
「何年後にこうなりたい」
⇩
要件②目標達成方法
「そのためにどんなことをする?」
⇩
要件③達成管理をする仕組み
「計画どおりいかないときはどうする?」
こう考えるとさらにシンプルになりますね。
ダイエットや受験、女優になりたいなど人生の目標達成の仕組みつくりにも最適な方法なのです。
「ロケット理論」を念頭に置き、考え方や行動を切り替えることで、中期5ヵ年経営計画は実行可能になっていきます。
数年後の目標達成により近づけるよう取り組んでいきましょう。