事業再構築補助金の「特別枠」は、採択率が高くなる可能性があります。
なぜなら採択のチャンスが2回あるからです!
採択のチャンスが2回とはどういうことなのでしょうか?
実は、事業再構築補助金を「特別枠」で申請して、万一不採択になっても「通常枠」で再審査されるのです。
本記事では、事業再構築補助金の「特別枠」は「通常枠」とどう違うのか?事業再構築補助金はどのような流れで申請をするのか?個人事業主の場合はどんな事業再構築が該当するのか?などを紹介いたします。
【注目】
緊急事態宣言特別枠については、予算に限りがあり、今回の公募で終了する可能性がございますので、申請を検討されている方はご注意ください。【第1回公募:特別枠の採択結果】
2021年6月16日(水)に令和2年度第3次補正予算「事業再構築補助金」(緊急事態宣言特別枠:第1回公募)の補助事業者を採択しました。
応募のあった5,181者のうち、申請要件を満たした4,326者について審査を行った結果、2,866者を採択しました。(特別枠の採択率:55.3%)【第1回公募:通常枠・卒業枠・グローバルV字回復枠の採択結果】
2021年6月18日(金)に令和2年度第3次補正予算「事業再構築補助金」(通常枠・卒業枠・グローバルV字回復枠:第1回公募)の補助事業者を採択しました。
応募のあった17,050者のうち、申請要件を満たした14,913者について審査を行った結果、5,150者を採択しました。(通常枠・卒業枠・グローバルV字回復枠の採択率:30.2%)詳しい第1回公募採択結果はこちらから
事業再構築補助金の特別枠は2回チャンスあり!
事業再構築補助金には、「通常枠」、「卒業枠」、「グローバルV字回復枠」及び「緊急事態宣言特別枠」の4つの事業類型があります。
4つの事業類型の1つである「緊急事態宣言特別枠(以下、特別枠)」は、令和3年1月の緊急事態宣言により深刻な影響を受け、早期の事業再構築が必要な中小企業等のために、他の事業分類よりも補助率の高くなっています。
この「特別枠」のよいところは、もし「特別枠」で不採択となったとしても、「通常枠」で再審査されることです。
ということは・・・
「特別枠」に申請するとチャンスが2回あるのです!
必然的に「特別枠」を申請された方は、その他の方に比べて採択率が高くなる可能性が高いことになります。
2回チャンスがある要件は、「通常枠」の申請要件を満たし、かつ、緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛等により影響を受けたことにより、令和3年1~3月のいずれかの月の売上高が対前年または前々年の同月比で30%以上減少している事業者のみです。
もちろん、個人事業主も要件を満たせば、「特別枠」の申請が可能です。
しかし、「特別枠」には、採択件数に限りがあります。
現在、採択件数の上限は公表されていませんが、早めに「特別枠」で申請されるのがよいでしょう。
事業再構築補助金がいつからいつまでなのかといった基本的なお話はこちらからどうぞ!
事業再構築補助金の特別枠は補助金額と補助率が違う!
経済産業省の「事業再構築補助金公募要領(第5回)」によると、事業再構築補助金の「特別枠」の補助金額と補助率は、他の枠と違います。
「通常枠」と「特別枠」で補助金額や補助率を比較してみます。
項目 | 通常枠 | 緊急事態宣言特別枠 |
概要 | 新分野展開や業態転換、事業・業種転換等の取組、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等を目指す中小企業等の新たな挑戦を支援。 | 令和3年の国による緊急事態宣言発令により深刻な影響を受け、早期に事業再構築が必要な飲食サービス業、宿泊業等を営む中小企業等に対する支援。 |
補助金額 | 【従業員数 20 人以下】 100 万円 ~ 4,000 万円 【従業員数 21~50 人】 100 万円 ~ 6,000 万円 【従業員数 51 人以上】 100 万円 ~ 8,000 万円 |
【従業員数 5 人以下】 100 万円 ~ 500 万円 【従業員数6~20 人】 100 万円 ~ 1,000 万円 【従業員数 21 人以上】 100 万円 ~ 1,500 万円 |
補助率 | 中小企業者等 2/3 (6,000 万円超は 1/2(※)) 中堅企業等 1/2 (4,000 万円超は 1/3(※)) |
中小企業者等 3/4 中堅企業等 2/3 |
補助事業実施期間 | 交付決定日~12 か月以内 (ただし、採択発表日から 14 か月後の日まで) |
|
補助対象経費 | 建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費、研修費 |
(※)補助金額によって補助率が異なりますのでご注意ください。
比較してみると、「通常枠」にくらべて「特別枠」は補助金額の上限が低いですし、従業員数によって補助金額の上限が変わります。それでも「特別枠」は最大1,500万円ありますから個人事業主や小規模事業者は思い切った事業再構築ができそうです。
注目すべきところは、補助率の高さです。「通常枠」の中小企業者等が2/3のところ「特別枠」は3/4となっています。
例えば300万円の機械設備をいれた場合、「通常枠」だと200万円の補助金で、「特別枠」だと225万円の補助金が受け取れることになりますから、「特別枠」であれば、実質75万円で300万円の機械設備を導入できることになります。
補助率が高いのはとても助かりますね!
また、「特別枠」は「通常枠」に先行して審査・採択公表を行います。
「特別枠」で不採択の場合は、「通常枠」で再審査されますし、再審査にあたっては事業者での手続きは不要です。
自動的に再審査してくれるなんてありがたいシステムです。
第2回公募の緊急事態宣言特別枠に再申請を希望される等で、「通常枠」での採択を希望しない場合は、採択公表後、事務局コールセンター宛にご連絡ください。
受 付 時 間:9:00~18:00(土日祝日を除く)
電 話 番 号:<ナビダイヤル>0570-012-088
<IP電話用> 03-4216-4080
事業再構築補助金の特別枠は通常枠要件にプラスアルファが必要!
経済産業省の「事業再構築補助金公募要領(第5回)」によると、事業再構築補助金の「特別枠」は、次のような要件が必要になります。
①【事業再構築要件】
事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業であること
②【売上高(等)減少要件】
2020 年 4 月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019 年又は 2020 年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して 10%以上減少しており、2020 年 10 月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019 年又は 2020年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して 5%以上減少していること等
(※)売上高に代えて付加価値額を用いることも可能です。詳細については、P15 の「(2)【売上高(等)減少要件】について」を参照してください。
③【宣言による売上高(等)減少要件】
以下の(ア)又は(イ)のいずれかの要件を満たすこと
(ア)令和 3 年の国による緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛等による影響を受けたことにより、令和3年 1 月~9 月のいずれかの月の売上高が対前年又は前々年の同月比で 30%以上減少していること
(イ)(ア)を満たさない場合には、令和 3 年の国による緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛等による影響を受けたことにより、令和3年 1 月~9 月のいずれかの月の付加価値額が対前年又は前々年の同月比で 45%以上減少していること
④【認定支援機関要件】
事業計画を認定経営革新等支援機関と策定していること
⑤【付加価値額要件】
補助事業終了後 3~5 年で付加価値額の年率平均 3.0%以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均 3.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること
※要件に合致すれば、地域や業種は問いません。
事業再構築補助金の「特別枠」は「通常枠」にさらなる売上高減少要件がプラスアルファされた感じですね。
それでは「通常枠」と「特別枠」の要件を比較してみましょう。
事業類型 | 通常枠 | 緊急事態宣言特別枠 |
要件① 【事業再構築要件】 |
事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業であること | |
要件② 【売上高減少要件】 |
申請前の直近6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること | |
要件② 【売上高減少要件+α】 |
- | 令和3年の国による緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛等による影響を受けたことにより、令和3年1月~3月のいずれかの月の売上高が対前年又は前々年の同月比で 30%以上減少していること |
要件③ 【認定支援機関要件】 |
事業計画を認定経営革新等支援機関と策定すること。補助金額が 3,000万円を超える案件は認定経営革新等支援機関及び金融機関(金融機関が認定経営革新等支援機関であれば当該金融機関のみ)と策定していること | 事業計画を認定経営革新等支援機関と策定していること |
要件④ 【付加価値額要件】 |
補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること |
「特別枠」の売上高減少要件が「通常枠」の要件にプラスアルファする項目になります。
令和3年の国による緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛等による影響を受けたことにより、令和3年1月~3月のいずれかの月の売上高が対前年又は前々年の同月比で 30%以上減少していること
この要件は、「通常枠」の売上高減少要件に追加する要件なので、「通常枠」の要件も満たす必要があります。
申請前の直近6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること
両方満たすとはどのような売上高減少の状態になるのでしょうか?
事業再構築補助金の特別枠になる売上高減少要件とは?
事業再構築補助金の「特別枠」になる売上高減少要件は、「通常枠」の売上高減少要件のプラスアルファなので、先に「通常枠」の売上高減少要件がどんな内容なのかみてみましょう。
「通常枠」の売上高減少要件はこちらです。
申請前の直近6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること
※罹災の影響を受けた場合(災害等の影響を受け、本来よりも2019年の売上げが減っている場合)に限り、2018年1月~12月とすることも認められます。
※新型コロナウイルス感染症の影響によらない売上の減少は、対象外です。コロナ後に合併を行った場合や大規模な自然災害で事業が大きく変化した場合等、特殊要因による売上高の増減については、「事業再構築補助金公募要領(第2回)」の別添(売上高減少に係る証明書類について)を参照の上、申請に必要となる証明書類を提出してください。
「申請前の直近6か月間」
・・・事業者が申請を行う日の属する月の前月から遡って6か月間とします。
「任意の3か月」
・・・「申請前の直近6か月間」の範囲内であれば連続した3か月である必要はありません。
「コロナ以前の同3か月」
・・・原則、事業者が任意で選択した3か月と2019年1月~12月又は2020年1月~3月の同3か月とします。
また、「事業再構築補助金に関するよくあるお問合せ」によると、Q32「コロナ以前」が2019年又は2020年1~3月の期間を指しているため、仮に2021年4月に申請し、任意の3か月として2021年1,2,3月を選択した場合、2019年1~3月または2020年1~3月のどちらと比較してもいいのか。という問いに対して、次のような回答がされています。
2019年1月~3月又は2020年1月~3月と比較することが可能です。また、2019年1月、3月、2020年2月のように、連続していなくても構いません。
ということは、2019年2月を入れると対象外だが、2020年2月にすると対象になるという場合であれば、さらに1年前の同月でもコロナ以前の期間内であれば問題ないということです。
その場合は、次のような流れになります。
ここまでが「通常枠」の売上高減少要件です。
次に「特別枠」の売上高減少要件はこちらです。
令和3年の国による緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛等による影響を受けたことにより、令和3年1月~3月のいずれかの月の売上高が対前年又は前々年の同月比で 30%以上減少していること
「特別枠」の売上高減少要件は「通常枠」の要件をクリアしてなおかつ、令和3年の国による緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛等による影響を受けたことにより、令和3年1月~3月のいずれかの月の売上高が対前年又は前々年の同月比で 30%以上減少していることが必要になります。
事業再構築補助金の特別枠の申請の流れは?
それでは、事業再構築補助金の特別枠の申請の流れをみてみましょう。
まずはじめに、特別枠以外の申請の流れをご覧ください。
特別枠に該当し申請すると、このような流れになります。
特別枠で申請して不採択の場合、自動的に通常枠で審査されるので、2回チャンスがあります。
このシステムは助かりますね。
しかし、通常枠に自動で再審査となると補助率が下がるなど特別枠の特典がなくなるため、次回公募の特別枠で再申請したい企業は、不採択の公表後、事務コールセンターまでお問い合わせください。
事業再構築補助金の特別枠は個人事業主も使える!
事業再構築補助金は個人事業主も使えます。
事業再構築補助金の公募要領(第5回)に記載されている「補助対象者」の中小企業者の要件をみていただくと、次のように書かれています。
【中小企業者】
・資本金又は従業員数(常勤)が下表の数字以下となる会社又は個人であること。
業種 資本金 従業員数(常勤) 製造業、建設業、運輸業 3億円 300人 卸売業 1億円 100人 サービス業
(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)5,000万円 100人 小売業 5,000万円 50人 ゴム製品製造業
(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く)3億円 900人 ソフトウェア業又は情報処理サービス業 3億円 300人 旅館業 5,000万円 200人 その他の業種(上記以外) 3億円 300人 ※1 資本金は、資本の額又は出資の総額をいいます。
※2 常勤従業員は、中小企業基本法上の「常時使用する従業員」をいい、労働基準法第 20 条の規定に基づく「予め解雇の予告を必要とする者」と解されます。これには、日々雇い入れられる者、2 か月以内の期間を定めて使用される者、季節的業務に 4 か月以内の期間を定めて使用される者、試みの使用期間中の者は含まれません。
このとおり、事業再構築補助金は個人事業主も申請できるんです!
特に売上が30%落ち込んでいるなら、特別枠で申請することをおすすめします。もし特別枠が不採択でも通常枠で再審査してくれますから採択率もあがります。
具体例としては、飲食店の場合はイベントでのキッチンカーやドライブイン形式のテイクアウトにしたり、衣料品店の場合はオンラインでサブスクリプション形式のサービスをしたり、タクシー業の場合は宅配サービスをしたりといった事業再構築が対象となります。
個人事業主も含めた事業再構築補助金の具体例はこちらからご覧ください。
事業再構築補助金の特別枠も事前にGビズID申請をしておこう!
事業再構築補助金の申請前にGビズIDを取得しなければ、どんなに準備してもすぐに事業再構築補助金の申請はできません。
電子申請の需要増加に伴い、GビズIDの取得に最大で3~4週間程度の期間を要します。
事業再構築補助金の「特別枠」の申請がスムーズにできるように事前にGビズIDもスムーズに取得していきましょう!
まとめ|事業再構築補助金の特別枠で個人事業主も申請しよう!
事業再構築補助金の「特別枠」は、採択率が高くなる可能性があります。
その理由は、事業再構築補助金を「特別枠」で申請して、万一不採択になっても「通常枠」で再審査されるため、チャンスが2回あるからです。
- 事業再構築補助金の「特別枠」は「通常枠」とどう違うのか?
- 事業再構築補助金はどのような流れで申請をするのか?
- 個人事業主の場合はどんな事業再構築が該当するのか?
もし、あなたの事業が事業再構築補助金の特別枠に該当するなら、是非、認定支援機関の支援を受けて「特別枠」への申請をしてみましょう。
今後の公募予定は、事業再構築補助金(経済産業省HP)や事業再構築補助金(中小企業庁HP)にて公開されていきますので見逃さないようにしてくださいね。