「決算書の保存期間ってどのくらい?」
「決算書を保存しておく意味はあるの?」
「決算書の保存を怠るとどうなるの?」
決算書の保存について、何年もとっておかなきゃならないと考えると、場所を取るから厳しいですよね。しかしながら、決算書は法律で決められた保存期間を守るよう義務付けられています。
本記事では、決算書の保存期間と保存方法、決算書の保存によるメリットとリスクについて詳しく解説します。
是非お読みいただき、企業運営に役立つ情報を得ていただければ幸いです。
決算書の保存期間はどのくらい?
決算書の保存期間は、企業の内部方針や業界の慣習によって定められることがありますが、基本は法人税法や会社法で決められた決算書の保存期間を守るようにしましょう。
国税庁のタックスアンサー(よくある税の質問)の「No.5930 帳簿書類等の保存期間」によると、「法人は、帳簿を備え付けてその取引を記録するとともに、その帳簿と取引等に関して作成または受領した書類を、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間保存しなければなりません。」と記載されています。
「書類」・・・棚卸表、貸借対照表、損益計算書、注文書、契約書、領収書など
決算書は「書類」の貸借対照表や損益計算書などに該当しますので、法人税法においては7年間保存しましょう。
なお、青色申告書を提出した事業年度で欠損金額(青色繰越欠損金)が生じた事業年度または青色申告書を提出しなかった事業年度で災害損失金額が生じた事業年度においては、10年間(平成30年4月1日前に開始した事業年度は9年間)となります。
また、会社法においては10年間保存とされていますので、法人税法の7年間保存の後も10年間になるまで保存をしておくほうがよいでしょう。
決算書の保存方法は?
決算書の保存方法には、紙媒体と電子媒体の両方があります。
それぞれの特徴を理解して、適切な保存方法を選択することが重要です。
紙媒体での保存方法
一般的に印刷した決算書をファイルや封筒、箱に整理して保管しているケースが多いようです。
重要な文書は防火・防水対策のある保管庫や専用の安全な場所に保管し、保存期間中に劣化しないように、湿気や虫の侵入から守る対策を取りましょう。
必要な時にすぐに取り出せるように、整理やラベリングを行うと便利です。
電子媒体での保存方法
1998年に制定された「電子帳簿保存法」の改正が進み、昨今では決算書をPDFや画像ファイルなどにして電子的に保存することもできるようになりました。
特に令和3年度の税制改正において抜本的に見直しがされた「電子帳簿保存法」では、「電子取引」の証憑を電子保存することが義務化になりました。
「電子取引」とはメールで送られてきたPDFの請求書や楽天やAmazonなどのインターネット上で購入する消耗品などの領収書等も該当します。
この「電子取引」の電子保存の義務化は全事業者対象になります。
つまり、これからは必然的に紙保存と電子保存が共存する形になるので、これを機に決算書等の帳簿書類も電子保存へと動いていく事業者は増えていくでしょう。
決算書を保存する4つのメリット
紙媒体でも電子媒体でも決算書を適切に保存することは、とても大切です。
ここからは、決算書を保存する4つのメリットを紹介します。
メリット①法的要件への遵守
決算書の保存は、法律や税法などの法的要件を遵守するために必要です。
企業は一定期間、決算書を保管することが義務づけられています。適切に保存することで、法的な制裁や罰金を回避し、企業の合法性を確保することができます。
メリット②財務分析と将来戦略
過去の決算書を分析することで、企業の財務状況や経営成績を把握できます。
収益性や財務安定性などの重要な指標を把握し、将来の戦略立案や経営判断に役立てることができます。長期的なビジネス展望を立てる際には、過去のデータの重要性が高まります。
メリット③投資家や金融機関の信頼
決算書の適切な保存は、投資家や金融機関に対して信頼性を示す重要な要素です。
信頼性のある財務情報を提供することで、投資家や金融機関との信頼関係を築き、資金調達の機会を広げることが可能となります。
メリット④法的紛争への備え
決算書の適切な保存により、法的な紛争や訴訟に際して証拠として活用できる場合があります。
万が一のトラブルに備えて決算書を保存しておくことで、企業が有利な立場で紛争に対応できる可能性が高まります。
決算書の保存を怠るとどうなる?
ここまでの話から、決算書の適切な保存は企業の合法性や信頼性を維持し、将来の経営において重要な役割を果たすことがわかりましたね。
一方、保存を怠ることで法的なリスクや経営上の不利益を招く可能性があるため、適切な管理を行うことが重要です。
決算書の保存を怠ると次のようなリスクがあります。
リスク①法的制裁
決算書の保存を怠ると、法律や税法に違反する可能性があります。
法的要件に基づく決算書の保存期間を守らなかった場合、税務署や監査機関から罰金や制裁を受けるリスクがあり、その違反が重大な場合には、企業の信用を失い、存続にも影響が及ぶ可能性があります。
リスク②財務判断の困難
適切に決算書が保存されていないと、過去の財務情報を把握することが難しくなります。
過去の経営成績や財務状況を正確に把握できないため、将来の経営戦略や投資判断において的確な判断が難しくなります。これにより、企業の成長や収益性に対する見通しも曖昧になります。
リスク③信頼性低下
投資家や金融機関は信頼性のある財務情報を求める傾向があります。
決算書の適切な保存が行われていないと、信頼性が低下し、資金調達や取引において不利な条件を受ける可能性があります。信頼性が低下すれば、投資家や金融機関からの支援や信用が得られなくなる可能性もあります。
リスク④法的紛争への脆弱性
過去の取引履歴や契約書などの証拠として、決算書が必要な場合があります。
しかし、適切な保存が行われていないと、法的紛争の際に証拠を提出できないという脆弱性が生じます。訴訟で不利な立場に立つ可能性が高くなり、法的なリスクが増大します。
まとめ|決算書の保存期間を守ろう!決算書の適切な管理が、企業の健全な成長と信頼性向上につながります!!
ここまで、決算書の保存期間と保存方法、決算書の保存によるメリットとリスクについて詳しく解説いたしました。
決算書の保存期間は、法人税法においては7年間保存しましょう。また、会社法においては10年間保存とされていますので、法人税法の7年間保存の後も10年間になるまで保存をしておくほうがよいでしょう。
また、決算書の適切な保存により、法的要件への遵守や法的な制裁を回避できるだけでなく、将来の戦略立案や投資判断にも役立ちます。さらに、投資家や金融機関との信頼関係を築くことができ、資金調達の成功にも繋がります。
一方で、決算書の保存を怠ると、法的制裁を受けるリスクや過去の財務情報の不足による経営判断の困難など、多くのリスクが生じます。さらに、信頼性の低下や法的紛争に対する脆弱性も考慮すべきです。
決算書の保存期間について、適切な期間だけ決算書を保持し、適切な管理を行うことが、企業の健全な成長と信頼性向上につながることを忘れずにいましょう。
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